111PM002|第111回 看護師国家試験 過去問

生活習慣病の三次予防はどれか。

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正解: 4

正答

4.社会復帰のためのリハビリテーション

この問題のポイント

予防の3段階(一次予防・二次予防・三次予防)を、それぞれの対象と目的で区別できるかを問う問題です。三次予防は、すでに発症した人を対象に、機能の回復、再発の防止、社会復帰を目指す段階です。選択肢の「社会復帰のため」という言葉は、三次予防の目的とそのまま一致します。

解説

予防の3段階の考え方

予防の段階は、リーベル(Leavell)とクラーク(Clark)が疾病の自然史に沿って整理した考え方がもとになっています。病気は「健康な時期 → 自覚症状のない病的変化 → 発症 → 重症化・後遺症」という経過をたどります。このうちどの時期に働きかけるかによって、予防を3つに分けます。

  • 一次予防:健康な人が対象で、病気の発生そのものを防ぐ段階です。健康増進として、栄養・運動・休養・禁煙・節度ある飲酒、体力づくり、健康教育があります。特異的予防として、予防接種、事故防止、職業病対策などがあります。
  • 二次予防:すでに始まっているのに気づかれていない病気を早く見つけ、早く治療して進行や重症化を防ぐ段階です。健康診断、がん検診、特定健康診査などのスクリーニングと、その結果に基づく早期治療が該当します。
  • 三次予防:発症した人が対象で、機能障害や能力低下を最小限にとどめ、機能の回復、再発の防止、社会復帰を図る段階です。リハビリテーション、再発予防のための生活指導や服薬支援、職場復帰や社会参加の支援が代表例です。

生活習慣病に当てはめると

生活習慣病では、高血圧・脂質異常症・糖尿病などが長い時間をかけて進行し、脳卒中や心筋梗塞などの重い病気につながります。3段階に当てはめると次のようになります。

  • 一次予防:若いうちから食生活を整え、運動習慣をつける。
  • 二次予防:健康診断で血圧や血糖の高値を見つけ、早期に治療を始める。
  • 三次予防:脳梗塞を発症して片麻痺が残った人に、理学療法や作業療法を行う。あわせて、復職に向けた調整や、再発を防ぐための服薬と生活の支援を行う。

正答に至る判断

各活動について、「誰を対象に」「何を目指して」行うのかを確認します。

  • 体力づくり:健康な人の発症予防なので一次予防です。
  • 健康診断と早期治療:早期発見・早期治療なので二次予防です。
  • 社会復帰のためのリハビリテーション:発症して障害が生じた人が対象で、目的は社会復帰です。

したがって、三次予防にあたるのは選択肢4です。

実践で生きる視点

同じ種類の活動でも、対象と目的によって段階が変わります。たとえば「運動」は、健康な人の体力づくりとして行えば一次予防です。一方、心筋梗塞後の患者が心臓リハビリテーションの一部として行えば、機能回復と再発予防を目指す三次予防になります。

看護師は、場面ごとに異なる段階の予防を担います。

  • 地域の健康教育:一次予防
  • 健診や外来での受診勧奨と治療継続の支援:二次予防
  • 病棟や在宅でのリハビリテーション支援と退院指導:三次予防

また、循環器領域の診療では、初回の発症を防ぐことを「一次予防」、再発を防ぐことを「二次予防」と呼ぶ用法があります。これに対して、予防の3段階の枠組みでは、再発防止は三次予防に含めて整理します。問題文がどちらの枠組みで問うているかに注意してください。

選択肢の確認

1.健康診断:健康診断は、自覚症状のない段階で高血圧や糖尿病などの異常を早期に発見するための活動で、二次予防に分類されます。すでに発症した人の機能回復や社会復帰を目的とするものではないため、三次予防にはあたりません。がん検診や特定健康診査も同じく二次予防です。「健康」という言葉から一次予防と取り違えやすいので、目的が「早期発見」であることで判断してください。

2.早期治療:早期治療は、健康診断などで見つかった病気を進行する前に治療し、重症化を防ぐ活動で、早期発見と並ぶ二次予防の中心です。「治療」という言葉から発症後の三次予防と誤解しやすい選択肢です。しかし三次予防は、発症後に生じた機能障害からの回復や再発防止、社会復帰を目指す段階であり、病気を早い段階で抑える早期治療とは目的が異なります。

3.体力づくり:体力づくりは、健康な人が運動習慣などで健康を増進し、病気の発生そのものを防ぐ活動で、一次予防(健康増進)にあたります。運動が発症後の機能回復を目的としたリハビリテーションとして行われる場合は三次予防の一部になり得ます。ただし、この選択肢の「体力づくり」は健康な人の健康増進を指すため、三次予防ではありません。

4.社会復帰のためのリハビリテーション:正答。すでに発症して機能障害が生じた人を対象に、残された機能の回復と生活能力の再獲得を図り、家庭・職場・地域への復帰を目指す活動です。まさに三次予防の中心となる内容です。生活習慣病では、脳卒中後の理学療法・作業療法・言語聴覚療法や、心筋梗塞後の心臓リハビリテーションが代表例です。

覚えるポイント

  • 一次予防は「発症させない」段階です。健康増進(生活習慣の改善、体力づくり、健康教育)と特異的予防(予防接種、事故防止)が含まれます。
  • 二次予防は「早く見つけて早く治す」段階です。健康診断、がん検診、特定健康診査、早期治療が含まれます。
  • 三次予防は「発症後の悪化・再発を防ぎ、生活に戻る」段階です。リハビリテーション、再発予防指導、服薬支援、社会復帰支援が含まれます。
  • 段階は活動の名前ではなく、対象(未発症か発症後か)と目的で判断します。同じ運動でも、健康増進なら一次予防、発症後の機能回復なら三次予防です。
  • 「治療」という語だけで三次予防と判断しないようにします。早期治療は二次予防です。
  • 循環器の臨床では再発予防を「二次予防」と呼ぶ用法がありますが、予防の3段階の枠組みでは、再発防止は三次予防に含めて整理します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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