111PM085|第111回 看護師国家試験 過去問

放射性同位元素を用いるのはどれか。

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正解: 5

正答

5.骨シンチグラフィ

この問題のポイント

画像検査や内視鏡検査が、それぞれ何を用いて体内を見ているかを区別できるかを問う問題です。手がかりは「放射性同位元素(RI、ラジオアイソトープ)」という言葉です。放射性同位元素を含む薬剤を体内に投与し、そこから出る放射線を体外で検出する核医学検査を選びます。「エックス線を使う検査」と「放射性同位元素を使う検査」を混同しないことが要点です。

解説

放射性同位元素と核医学検査

放射性同位元素は、原子核が不安定なため、放射線を出しながら別の原子核へ変わっていく(壊変する)同位元素です。医療では、目的の臓器や組織に集まりやすい化合物にこれを結合させた放射性医薬品を使います。静脈注射などで体内に投与し、放出されるガンマ線をガンマカメラなどで体外から検出して画像にします。これを核医学検査(RI検査)といいます。検査名に「シンチグラフィ」「SPECT」「PET」が付くものが代表です。臓器の形だけでなく、血流や代謝といった機能を画像化できる点が特徴です。

エックス線を使う検査との違い

CTや血管造影もエックス線という放射線を使いますが、放射線の出どころが違います。

  • エックス線検査では、装置(エックス線管)でエックス線を発生させ、体の外から照射します。透過したエックス線を画像にするので、照射を止めれば放射線は出ません。
  • 核医学検査では、放射線源そのものを体内に入れます。そのため投与後しばらくは患者自身から放射線が出ており(内部被ばく)、尿などの排泄物にも放射性物質が含まれます。

「放射線を使う検査」がすべて「放射性同位元素を使う検査」ではない、という区別が本問の核心です。

骨シンチグラフィの実際と看護

骨シンチグラフィでは、テクネチウム99mで標識したリン酸化合物を静脈注射し、数時間後に全身を撮像します。薬剤は骨代謝(骨形成)が盛んな部位に多く集まるため、次のような病変が「集積の増加」として描出されます。

  • がんの骨転移(前立腺がん、乳がん、肺がんなどで検索目的に頻用)
  • 単純エックス線では分かりにくい骨折
  • 骨髄炎

看護では、次の点を説明・援助します。

  • 通常は絶食の必要がないこと、注射から撮像まで時間があくこと。
  • 撮像直前に排尿してもらうこと。薬剤は腎臓から尿中に排泄されて膀胱にたまるため、骨盤の骨が見えにくくなるのを防ぎます。
  • 注射後は水分摂取と排尿を促すこと。膀胱の被ばくを減らし、排泄を早めるためです。
  • 金属類を外すこと。

テクネチウム99mは物理的半減期が約6時間と短く、被ばく量は限られます。それでも妊娠の可能性は事前に確認します。

他の核医学検査

ほかにも、心筋シンチグラフィ、甲状腺シンチグラフィ、脳血流SPECT、ガリウムシンチグラフィ、18F-FDGを用いるPETなどがあります。FDG-PETは、血糖値が薬剤の集積に影響するため絶食が必要です。また、放射性ヨウ素(131I)によるバセドウ病や甲状腺がんの治療のように、放射性同位元素は治療にも使われます。

臨床では、妊娠中や妊娠の可能性がある人、小児に検査を行うときに「放射線を使うか」「体内に放射性物質が残るか」を区別できることが、被ばく防護や家族への説明に直結します。

選択肢の確認

1.脳血管造影:カテーテルを大腿動脈や橈骨動脈から脳の血管まで進め、ヨード造影剤を注入してエックス線で撮影する検査です。放射線(エックス線)は使いますが、放射性同位元素は用いません。脳動脈瘤、脳動静脈奇形、血管の狭窄・閉塞の評価に使われます。看護では、造影剤アレルギー歴の確認、穿刺部の止血と安静、穿刺側の末梢動脈の触知確認が重要です。「造影」という言葉から放射性の薬剤と取り違えやすいので注意します。

2.膀胱鏡検査:尿道から内視鏡を挿入し、膀胱や尿道の内腔を直接観察する検査で、光学機器を用いるため放射線も放射性同位元素も使いません。血尿の原因検索や膀胱がんの診断などに行われ、体位は砕石位です。検査後は血尿、排尿時痛、尿路感染症の徴候に注意し、水分摂取を勧めます。

3.頭部CT検査:体の周りを回転するエックス線管からエックス線を照射し、透過したエックス線をコンピュータで処理して断層像を得る検査です。被ばくはありますが、放射線は装置から発生させるもので、放射性同位元素は用いません。脳卒中が疑われるときは、まず単純CTで出血の有無を確認します。出血は高吸収域として白く写り、脳梗塞は発症早期には描出されにくいことも頻出事項です。造影CTで使うのはヨード造影剤です。

4.腹部超音波検査:プローブから超音波を当て、臓器からはね返る反射波を画像化する検査で、放射線を用いないため被ばくがありません。非侵襲的で、妊婦にも繰り返し行えます。胆嚢を観察する場合は、食事で胆嚢が収縮してしまうため、検査前は絶食とします。

5.骨シンチグラフィ:正答。テクネチウム99mで標識した放射性医薬品を静脈注射し、骨代謝の盛んな部位に集まった薬剤から出るガンマ線をガンマカメラで検出して画像化する核医学検査です。放射性同位元素を体内に投与する代表的な検査で、がんの骨転移の検索などに用いられます。

覚えるポイント

  • 放射性同位元素を使う検査は核医学検査です。キーワードは「シンチグラフィ」「SPECT」「PET」で、放射線源を体内に入れるため、投与後しばらくは患者や排泄物から放射線が出ます。
  • エックス線を使うが放射性同位元素は使わない検査は、単純エックス線撮影、CT、血管造影、消化管造影、マンモグラフィです。放射線は装置から外部照射されます。
  • 放射線を使わない検査は、超音波検査、MRI(磁場と電波)、内視鏡検査です。
  • 骨シンチグラフィは、テクネチウム99m標識薬を静注して数時間後に撮像し、骨転移の検索に用います。撮像前に排尿し、検査後は水分摂取と排尿を促します。
  • 造影剤の違いも押さえます。血管造影と造影CTはヨード造影剤、MRIはガドリニウム造影剤、消化管造影は硫酸バリウムで、いずれも放射性物質ではありません。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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