111PM084|第111回 看護師国家試験 過去問

食物の嚥下において喉頭蓋が喉頭口を閉鎖する時期はどれか。

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正解: 4

正答

4.咽頭期

この問題のポイント

摂食嚥下の5期モデル(先行期・準備期・口腔期・咽頭期・食道期)で、各期に何が起こるかを問う問題です。手がかりは「喉頭蓋が喉頭口を閉鎖する」という語で、これは嚥下反射によって気道を守る動きです。嚥下反射が起こり、食塊が咽頭を通過する時期がどこかを押さえていれば解けます。

解説

摂食嚥下の5期

食物を認識してから胃に送り込むまでの過程は、次の5期に分けて説明されます。

  • 先行期(認知期):食物を見て認識し、何をどのくらい、どう食べるかを判断します。
  • 準備期(咀嚼期):食物を口に取り込み、咀嚼して唾液と混ぜ、食塊にまとめます。
  • 口腔期(嚥下第1期):舌で食塊を咽頭へ送り込みます。ここまでは意思で調節できる随意運動です。
  • 咽頭期(嚥下第2期):嚥下反射により、食塊が咽頭を通って食道へ送られます。
  • 食道期(嚥下第3期):食道の蠕動運動と重力で食塊が胃へ運ばれます。

咽頭期と食道期は反射や蠕動による不随意運動です。

咽頭期に起こる気道防御

咽頭は空気の通り道と食物の通り道が交わる場所です。食塊が咽頭に達すると、その刺激が舌咽神経や迷走神経を通じて延髄の嚥下中枢に伝わり、嚥下反射が起こります。この反射では、1秒に満たない短い時間に次の動きが連続して起こります。

  • 軟口蓋が挙上して鼻咽腔を閉じ、食塊が鼻へ逆流するのを防ぎます。
  • 舌骨と喉頭が前上方へ挙上します。
  • 喉頭蓋が後方へ倒れて喉頭口をふさぎ、声門も閉じて気道が閉鎖されます。
  • この間は呼吸が一時的に止まります(嚥下性無呼吸)。
  • 咽頭収縮筋が食塊を下方へ押し出し、輪状咽頭筋(上部食道括約筋)がゆるんで食道入口部が開きます。

したがって、喉頭蓋が喉頭口を閉鎖するのは咽頭期です。

看護実践とのつながり

喉頭挙上や喉頭口の閉鎖が遅れたり不十分だったりすると、食塊が気道へ入り誤嚥が起こります。高齢者は喉頭挙上が不十分になりやすく、咳反射も低下するため、むせのない不顕性誤嚥から誤嚥性肺炎に至ることがあります。

液体は流れが速く、閉鎖が間に合わないうちに気道へ入りやすいため、とろみをつけて流れを遅くします。食事の際は顎を軽く引いた頸部前屈位をとります。頸部が後屈すると気道が開き、誤嚥しやすくなります。

嚥下機能の評価には**反復唾液嚥下テスト(RSST)**を用います。喉頭隆起に指を当てて喉頭の挙上を触知し、30秒間の空嚥下の回数を数えます。3回未満は嚥下障害の疑いと判断します。

選択肢の確認

1.先行期:食物を目で見て、においを感じ、何をどのくらいの速さで口に運ぶかを判断する段階です。食物はまだ口に入っておらず、喉頭蓋の動きは起こりません。意識レベル、認知機能、食欲、視覚などが関わり、認知症の人が「食物を認識しない」「かき込んで食べる」といった問題はこの段階の障害に当たります。

2.準備期:食物を口に取り込み、歯と咀嚼筋、舌、頬、口唇を協調させて咀嚼し、唾液と混ぜて食塊にまとめる段階です。随意運動で、咀嚼中は通常、鼻呼吸が続いており喉頭口は開いています。義歯の不適合、歯の欠損、口唇の閉鎖不全などで障害され、「咀嚼」と結びつけて覚えます。

3.口腔期:まとめた食塊を、舌を前方から後方へ順に口蓋へ押しつけながら咽頭へ送り込む段階で、嚥下第1期ともいいます。随意運動であり、この時点では喉頭蓋による閉鎖はまだ起こっていません。舌の運動障害があると送り込みが障害されます。食塊が咽頭に達したことが、次の段階の嚥下反射を引き起こします。

4.咽頭期:正答。食塊が咽頭に達して嚥下反射が起こり、不随意に進む嚥下第2期です。舌骨と喉頭が前上方へ挙上し、喉頭蓋が後方へ倒れて喉頭口をふさぎ、声門も閉じて一時的に呼吸が止まります。同時に鼻咽腔が閉じ、食道入口部が開いて、食塊は食道へ送られます。

5.食道期:食塊が食道入口部を通過した後、食道の蠕動運動と重力によって胃へ運ばれる嚥下第3期です。この段階では喉頭が下降して喉頭蓋は元の位置に戻り、呼吸も再開しているため、喉頭口を閉鎖する時期ではありません。食道の通過障害や胃食道逆流で障害され、逆流物を誤嚥する原因になることがあります。

覚えるポイント

  • 摂食嚥下の5期は、先行期(認知期)→準備期(咀嚼期)→口腔期(第1期)→咽頭期(第2期)→食道期(第3期)の順です。
  • 随意運動は準備期と口腔期、不随意運動は咽頭期(嚥下反射)と食道期(蠕動運動)です。
  • 咽頭期には、鼻咽腔閉鎖、喉頭挙上、喉頭蓋による喉頭口閉鎖、声門閉鎖、嚥下性無呼吸、食道入口部の開大が起こります。
  • 嚥下中枢は延髄にあります。咽頭期の障害は誤嚥に直結します。
  • 誤嚥予防の基本は、頸部前屈位、とろみの付与です。RSSTは30秒間に3回未満で嚥下障害を疑います。

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