111PM118|第111回 看護師国家試験 過去問
次の文を読み118、119の問いに答えよ。A君(男児)は3歳の誕生日を迎えた。生後8か月のときに鶏卵の摂取でアナフィラキシーを起こしたため、かかりつけ医を受診した。それ以降、現在までA君は鶏卵の摂取を禁止するよう説明されている。鶏卵以外の食物は摂取して問題がない。今回、A君は保育所の入所にあたり、かかりつけ医からアレルギー外来のあるB病院を紹介され受診した。3歳児健康診査が今後予定されている。A君は身長95 cm(50パーセンタイル)、体重15 kg(75パーセンタイル)、自分の名前と年齢を答えることができる。階段を1人で昇ることができるが、スキップはできない。排泄はオムツにしている。A君の発育と発達のアセスメントで正しいのはどれか。
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正解: 4
正答
4.運動発達は年齢相応である。
この問題のポイント
3歳男児の身体計測値と日常の様子から、発育(体格)と発達(言語・運動・排泄)を年齢の目安と照らして評価する問題です。手がかりは、身長・体重のパーセンタイル値、「名前と年齢を答えられる」「階段を1人で昇れるがスキップはできない」「排泄はオムツ」という情報です。各能力を獲得するおおよその年齢を知っていれば、4つの選択肢をそれぞれ判定できます。
解説
情報の整理
A君は3歳ちょうどの男児です。身長95 cm(50パーセンタイル)、体重15 kg(75パーセンタイル)で、名前と年齢を答えられ、階段を1人で昇れます。スキップはできず、排泄はオムツです。鶏卵アレルギーの経過は、この設問の発育・発達の評価には直接関係しません。
発育(体格)の評価
パーセンタイル値は、同じ性別・月齢の子どもを小さい順に並べたときに何%の位置にあたるかを示す値で、50パーセンタイルが中央値です。母子健康手帳の発育曲線には3〜97パーセンタイルの帯が示されており、この範囲に入っていれば、おおむね標準の発育と考えます。A君は身長・体重ともに帯の中にあります。体重はやや大きめですが、身長とのバランスが大きく崩れているわけではありません。
肥満かどうかは、体重のパーセンタイル値だけでは判断できず、身長との関係で評価します。
- カウプ指数:体重(kg)÷身長(m)² で求めます。15÷(0.95×0.95)=15÷0.9025 で、約16.6です。幼児期の標準的な範囲に入ります。
- 肥満度:(実測体重−身長別標準体重)÷身長別標準体重×100 で求めます。幼児では+15%以上を「太りぎみ」とします。身長95 cmの男児の標準体重は14 kg前後なので、A君の肥満度は+10%に届かず、肥満にはあたりません。
言語発達の評価
言語の目安は、1歳ごろに意味のある単語(有意語)、2歳ごろに2語文、3歳ごろに自分の名前が言えて簡単な会話ができる、という流れです。3歳で名前と年齢を答えられるのは、年齢相応の発達です。
運動発達の評価
粗大運動のおおよその目安は次のとおりです。
- 1歳〜1歳3か月ごろ:ひとり歩きをする。
- 2歳ごろ:走る、両足でその場跳びをする。
- 3歳ごろ:階段を1人で昇る、三輪車をこぐ、片足で短時間立つ。
- 4歳ごろ:片足跳び(けんけん)をする。
- 5歳ごろ:スキップをする。
階段を1人で昇れることは3歳で獲得が期待される動作です。スキップは5歳ごろの動作なので、3歳でできないのは当然です。母子健康手帳の3歳ごろの確認項目にも、手を使わずに1人で階段を昇れるか、自分の名前が言えるかといった内容が含まれています。
排泄の評価
排泄の自立は、膀胱に尿がたまった感覚を認識し、排尿をがまんできる機能が育つことで進みます。トイレットトレーニングは、ひとり歩きができる、排尿間隔が2時間程度あく、言葉で意思を伝えられる、といった準備が整ってから始めます。昼間のおむつが外れる時期は3歳前後から4歳ごろまでと幅があり、個人差の大きい領域です。3歳でオムツを使用していても、遅れとは判断しません。保育所での集団生活をきっかけに自立が進むことも多いので、急がせずに、できたときに褒めながら進めるよう支援します。
判断のまとめ
体格、言語、排泄のいずれにも「異常・遅れ」と判定する根拠はありません。運動については、階段を1人で昇れることが3歳の目安に合っており、スキップができないことも正常範囲です。したがって、正しいアセスメントは「運動発達は年齢相応」です。
3歳児健康診査は、母子保健法に基づき市町村が満3歳を超え満4歳に達しない幼児に行う健診で、こうした目安をもとに発育・発達を確認します。目安は「多くの子どもができるようになる時期」を示すもので、幅があります。1つの項目ができないことだけで遅れと決めず、複数の領域と経過をあわせて評価する姿勢が、看護職には求められます。
選択肢の確認
1.肥満である。:身長50パーセンタイル・体重75パーセンタイルはどちらも標準の帯の中にあります。カウプ指数は約16.6、肥満度も+10%未満です。体重のパーセンタイル値だけを見て肥満と判断するのは、よくある取り違えです。幼児の肥満は、肥満度+15%以上などの基準で身長とのバランスから判定します。
2.言語発達に遅れがある。:3歳で自分の名前と年齢を答えられるのは、3歳ごろの言語発達の目安どおりです。遅れを疑うのは、たとえば2歳を過ぎても意味のある単語がほとんど出ない、3歳で2語文が出ないといった場合です。
3.排泄の自立に遅れがある。:昼間の排泄の自立は3歳前後から4歳ごろまでと個人差が大きく、3歳でのオムツ使用は遅れとはいえません。排泄で問題として扱われる例には、夜尿症(5歳以上で、月1回以上の夜尿が3か月以上続くもの)があります。
4.運動発達は年齢相応である。:正答。階段を1人で昇ることは3歳ごろに獲得が期待される粗大運動です。スキップは5歳ごろにできるようになる動作なので、3歳でできなくても問題ありません。
覚えるポイント
- 粗大運動の目安:ひとり歩きは1歳〜1歳3か月、両足跳びは2歳、階段を1人で昇る・三輪車・片足立ちは3歳、けんけんは4歳、スキップは5歳です。
- 言語の目安:1歳で有意語、2歳で2語文、3歳で名前・年齢が言えて簡単な会話ができます。
- 排泄の自立は個人差が大きく、昼間は3歳前後から4歳ごろまでに自立します。夜尿症は、5歳以上で月1回以上の夜尿が3か月以上続くものを指します。
- 体格の評価:発育曲線の3〜97パーセンタイルの帯が標準の目安です。カウプ指数は体重(kg)÷身長(m)²、幼児の肥満は肥満度+15%以上で判定します。
- 発達の目安には幅があります。1項目だけで遅れと判断せず、複数の領域と経過から総合的に評価します。
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