111PM086|第111回 看護師国家試験 過去問

地域包括支援センターの目的を定める法律はどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.介護保険法

この問題のポイント

地域包括支援センターの設置根拠となる法律を問う問題です。地域包括支援センターは2005年の介護保険法改正で創設され、2006年4月から設置が始まりました。介護保険制度の地域支援事業を担う中核機関です。高齢者を対象とする機関なので老人福祉法と迷いやすく、同法に基づく老人介護支援センター(在宅介護支援センター)との区別が鍵になります。

解説

設置根拠・目的・体制

地域包括支援センターは介護保険法第115条の46に規定されています。同条はセンターの目的を「地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援すること」と定めています。設問の「目的を定める法律」は、この規定を指しています。

設置主体は市町村です。市町村が直営で設置するほか、包括的支援事業の委託を受けた法人(社会福祉法人、医療法人など)が設置することもできます。担当区域は、市町村が日常生活圏域など地域の実情に応じて決めます。運営費は主に介護保険の地域支援事業でまかなわれます。

センターには原則として次の3職種が配置され、チームで対応します。

  • 保健師(または地域ケア・地域保健の経験がある看護師)
  • 社会福祉士
  • 主任介護支援専門員

主な業務と実践での役割

センターの主な業務は次の4つで、いずれも地域支援事業として行われます。

  • 総合相談支援業務:高齢者本人や家族、近隣住民からの幅広い相談を受け、必要なサービスや機関につなぎます。
  • 権利擁護業務:高齢者虐待の早期発見と対応、成年後見制度の活用支援、消費者被害の防止などを行います。
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務:地域の介護支援専門員に助言し、多職種・関係機関が連携できる体制をつくります。
  • 介護予防ケアマネジメント:介護予防・日常生活支援総合事業の対象者に、介護予防のケアマネジメントを行います。

このほか、指定介護予防支援事業者として、要支援1・2の人の介護予防サービス計画(予防給付のケアプラン)も作成します。出題当時、この指定を受けられるのは地域包括支援センターの設置者に限られていました。現在は、2024年4月から居宅介護支援事業者も指定を受けられるようになっています。さらに、介護保険法に位置づけられた地域ケア会議の開催にも中心的に関わります。地域ケア会議は、個別事例の検討を通じて地域の課題を見いだし、地域づくりや施策につなげる場です。

病棟の看護師は退院支援の場面で、要介護認定をまだ申請していない高齢者や独居高齢者の生活について、相談先を案内することがあります。在宅では、虐待が疑われる場面に出会うこともあります。こうした場面で最初に連携する身近な窓口が地域包括支援センターです。地域包括ケアシステム(住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供する仕組み)を地域で動かす拠点、と理解しておくとよいでしょう。

相談・支援機関と根拠法

地域で相談・支援を担う機関は、根拠法との組み合わせで問われることがあります。まとめて整理しておきましょう。

  • 保健所・市町村保健センター:地域保健法
  • 福祉事務所・社会福祉協議会:社会福祉法
  • 老人介護支援センター(在宅介護支援センター):老人福祉法
  • 精神保健福祉センター:精神保健福祉法
  • 基幹相談支援センター:障害者総合支援法
  • 母子健康包括支援センター(通称:子育て世代包括支援センター):出題当時は母子保健法に規定されていました。現在は、2024年4月から、児童福祉法に基づく子ども家庭総合支援拠点と一体化した「こども家庭センター」に見直されています。

選択肢の確認

1.介護保険法:正答。第115条の46に、地域包括支援センターの目的、設置主体(市町村または包括的支援事業の委託を受けた法人)、実施する事業が定められています。センターは地域支援事業のうち包括的支援事業を担う機関と位置づけられています。要支援者の介護予防支援や地域ケア会議など、関連する仕組みもこの法律に規定されています。

2.健康増進法:国民の健康の増進を総合的に推進することを目的とする法律で、高齢者の相談・支援を包括的に担う機関の規定はありません。定めているのは、国の基本方針(健康日本21の法的根拠)、都道府県健康増進計画(策定義務)と市町村健康増進計画(努力義務)、国民健康・栄養調査、市町村が行う健康増進事業(歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診、がん検診など)、受動喫煙の防止などです。これらの根拠を問われたときに選ぶのがこの法律です。ただし、名前に「健診」とつくものがすべてこの法律に基づくわけではありません。特定健康診査・特定保健指導は高齢者の医療の確保に関する法律(第20条・第24条)に基づきます。乳幼児健康診査・妊婦健康診査は母子保健法(第12条・第13条)、学校の健康診断は学校保健安全法、事業者が行う健康診断は労働安全衛生法(第66条)が根拠です。特に特定健康診査・特定保健指導は、生活習慣病の予防を目的としているためこの法律と取り違えやすいので、注意しましょう。

3.社会福祉法:社会福祉を目的とする事業の全分野に共通する基本事項を定める法律で、地域包括支援センターの目的規定は置かれていません。規定しているのは、第1種・第2種社会福祉事業の範囲、福祉事務所、社会福祉協議会、市町村地域福祉計画、福祉サービス利用援助事業(日常生活自立支援事業のもとになる事業)、苦情解決の仕組みなどです。「地域福祉の推進」という理念がセンターの役割と重なるため迷いやすい選択肢です。福祉事務所や社会福祉協議会の根拠を問われたときには、この法律を選びます。

4.地域保健法:1994年に保健所法を改正・改称して成立した法律で、定めている施設は保健所と市町村保健センターです。内容は、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所(都道府県、指定都市・中核市などの政令で定める市、特別区が設置)、市町村保健センター(市町村が設置できる)などです。どちらも住民の健康相談の窓口になります。しかし、高齢者の総合相談や介護予防ケアマネジメントを担う地域包括支援センターとは根拠法が異なります。

5.老人福祉法:1963年に制定された高齢者福祉の基本法ですが、定めているのは老人介護支援センター(在宅介護支援センター)で、地域包括支援センターではありません。規定内容は、老人福祉施設(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人デイサービスセンター、老人介護支援センターなど)、市町村・都道府県老人福祉計画、やむを得ない事由による措置などです。老人介護支援センターは地域包括支援センターの創設以前から在宅高齢者の相談を担ってきた機関で、名称も役割も似ているため最も紛らわしい選択肢です。なお、特別養護老人ホームは、介護保険制度では介護老人福祉施設などとして指定を受けて給付の対象になります。同じ施設が2つの法律にまたがる例として押さえておきましょう。

覚えるポイント

  • 地域包括支援センターは介護保険法第115条の46に基づく機関です。設置主体は市町村で、包括的支援事業を委託された法人も設置できます。2006年4月から設置が始まりました。
  • 配置される3職種は、保健師(または経験のある看護師)・社会福祉士・主任介護支援専門員です。
  • 業務は、総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントの4つです。加えて要支援者の介護予防支援を行い、地域ケア会議にも関わります。
  • 老人介護支援センター(在宅介護支援センター)は老人福祉法に基づく機関です。名称の似た地域包括支援センターと混同しないようにしましょう。
  • 機関の根拠法は、保健所・市町村保健センターが地域保健法、福祉事務所・社会福祉協議会が社会福祉法、精神保健福祉センターが精神保健福祉法です。
  • 健診の根拠法は次のとおりです。市町村の健康増進事業(歯周疾患検診・骨粗鬆症検診・がん検診など)は健康増進法、特定健康診査・特定保健指導は高齢者の医療の確保に関する法律に基づきます。乳幼児健康診査・妊婦健康診査は母子保健法、学校の健康診断は学校保健安全法、事業者の健康診断は労働安全衛生法です。

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