112AM015|第112回 看護師国家試験 過去問

メタボリックシンドローム metabolic syndrome の診断基準において男性の腹囲〈ウエスト周囲径〉で正しいのはどれか。

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正解: 2

正答

2.85 cm以上

この問題のポイント

わが国のメタボリックシンドローム診断基準で、必須項目とされる腹囲の基準値を問う問題です。腹囲の基準は、内臓脂肪面積100 cm²に相当する値として男性85 cm以上、女性90 cm以上と定められています。女性のほうが大きい値になっている点が、最も取り違えやすいところです。腹囲に加えて満たすべき3項目の基準値もよく一緒に問われるので、セットで覚えておきます。

解説

メタボリックシンドロームとは

メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を土台として、インスリン抵抗性を介して脂質異常・血圧上昇・高血糖が重なった状態です。一つひとつの異常は軽くても、重なると心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患のリスクが高まります。

内臓脂肪細胞からは遊離脂肪酸やTNF-αなどが多く分泌されます。一方で、インスリン感受性を高めて動脈硬化を防ぐアディポネクチンは減ります。これがインスリン抵抗性や動脈硬化の進展につながります。そのため診断では、内臓脂肪の蓄積を示す腹囲が必須項目になっています。

わが国の診断基準

わが国の基準は、2005年に日本内科学会など関連8学会が合同で策定したものです。

  • 必須項目は腹囲(ウエスト周囲径)で、男性85 cm以上、女性90 cm以上です。いずれも内臓脂肪面積が男女とも100 cm²以上に相当する値です。
  • 脂質は、中性脂肪150 mg/dL以上、HDLコレステロール40 mg/dL未満のいずれかまたは両方で該当します。
  • 血圧は、収縮期130 mmHg以上、拡張期85 mmHg以上のいずれかまたは両方で該当します。
  • 血糖は、空腹時血糖110 mg/dL以上で該当します。

必須項目に加えて、上の3項目のうち2項目以上を満たすと診断されます。各項目について薬物治療を受けている場合は、該当として数えます。LDLコレステロールは診断基準に含まれない点にも注意します。

なぜ女性の基準値のほうが大きいのか

基準値は、CTで臍の高さの内臓脂肪面積を測り、100 cm²に相当する腹囲を求めて決められました。女性は男性に比べて皮下脂肪が多く、同じ内臓脂肪量でも腹囲が大きくなります。その結果、女性の値のほうが大きくなりました。「脂肪がつきやすいほうの値が大きい」と理解しておけば、男女を取り違えにくくなります。

腹囲の測り方

  • 立位で、軽く息を吐いたとき(呼気終末)に、臍の高さで水平に測ります。
  • 脂肪の蓄積が著しく、臍が下方に偏位している場合は、肋骨下縁と上前腸骨棘の中点の高さで測ります。
  • 健診や外来で看護師が測るときは、メジャーが水平になっているか、皮膚に食い込んでいないかを確認します。

特定健康診査・特定保健指導とのつながり

特定健康診査は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医療保険者が40〜74歳の加入者に行う健診です(2008年度開始)。

  • 腹囲の基準(男性85 cm、女性90 cm)またはBMI 25以上で、内臓脂肪蓄積のリスクを判定します。
  • そのうえで、追加リスクの数によって動機付け支援・積極的支援に階層化します。
  • 階層化では、血糖は空腹時100 mg/dL以上またはHbA1c 5.6%以上と、診断基準より低い値が用いられます。喫煙歴も加味されます。

診断基準と保健指導の判定基準は同じではないので、区別して覚えます。国民健康・栄養調査では、メタボリックシンドロームが強く疑われる者と予備群の割合は、男性のほうが女性より高い傾向が続いています。男性の腹囲基準を正しく押さえることは、健診後の保健指導の対象者を正しく見極めることにもつながります。

選択肢の確認

1.80 cm以上:わが国の診断基準では、男女とも80 cmという値は採用されていません。男性の基準値は85 cmです。これより低い値にすると、内臓脂肪面積が100 cm²に届かない人まで含まれてしまいます。アジア人女性向けの国際的な基準の一部に80 cmを用いるものがあるため、海外の基準と混同しないよう注意します。

2.85 cm以上:正答。わが国の診断基準における男性の腹囲基準です。CTで測った臍の高さの内臓脂肪面積100 cm²に相当します。女性の基準は90 cmで、男性より大きい値です。

3.90 cm以上:これは女性の腹囲の基準値で、男性の値ではありません。女性は皮下脂肪が多く、同じ内臓脂肪量でも腹囲が大きくなるため、男性より高く設定されています。「男性のほうが体格が大きいから基準値も大きいはず」と考えて選びやすい、典型的な誤答です。

4.95 cm以上:この値は、わが国の診断基準では男女どちらの基準にも該当しません。この値を男性の基準にすると、内臓脂肪が蓄積している人の多くを見逃します。早期に見つけて生活習慣の改善につなげるという基準の目的にも合いません。

覚えるポイント

  • 腹囲は必須項目で、男性85 cm以上、女性90 cm以上です。女性のほうが大きく、いずれも内臓脂肪面積100 cm²に相当します。
  • 腹囲に加えて、次の3項目のうち2つ以上で診断します:脂質(中性脂肪150 mg/dL以上、HDLコレステロール40 mg/dL未満のいずれか)、血圧(130/85 mmHg以上のいずれか)、空腹時血糖110 mg/dL以上。服薬中は該当とし、LDLコレステロールは含みません。
  • 腹囲は立位・軽く息を吐いたとき・臍の高さで測ります。臍が下方に偏位していれば、肋骨下縁と上前腸骨棘の中点で測ります。
  • 特定保健指導の階層化では、BMI 25以上も判定の入口になります。血糖の基準は空腹時100 mg/dL以上またはHbA1c 5.6%以上で、診断基準より低い値です。
  • 病態の流れは「内臓脂肪蓄積 → インスリン抵抗性 → 動脈硬化性疾患」です。この流れがあるから腹囲が必須項目になっている、と理解しておきます。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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