112AM016|第112回 看護師国家試験 過去問
炎症マーカーはどれか。
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正解: 3
正答
3.C反応性蛋白質〈CRP〉
この問題のポイント
血液検査の項目を「何を反映する検査か」で分類できるかを問う問題です。炎症マーカーは、体内で起きている炎症の有無と程度を示す指標で、代表は急性期蛋白であるCRPです。CA19-9は腫瘍マーカー、抗核抗体とリウマトイド因子は自己抗体です。これらは特定の疾患の診断を補助する検査であり、炎症の程度を示す検査ではありません。
解説
炎症マーカーとCRP
炎症は、感染、外傷、手術、心筋梗塞などの組織壊死、膠原病、悪性腫瘍などで起こります。炎症が起こると、マクロファージなどから炎症性サイトカインが放出されます。主なものはインターロイキン6〈IL-6〉、IL-1、TNF-αです。これらが肝臓に働くと、血中濃度が急速に増える一群の蛋白質が作られます。これを急性期蛋白と呼び、CRPはその代表です。CRPという名前は、肺炎球菌の細胞壁にあるC多糖体と反応する蛋白質として発見されたことに由来します。
CRPの特徴は次のとおりです。
- 炎症の原因を問わず上昇する非特異的な指標です。「炎症があるか」「強まっているか、治まってきているか」を判断するのに使います。原因を特定するには、症状、身体所見、白血球数と分画、培養検査、画像検査などを組み合わせます。
- 炎症刺激から数時間で上昇し始め、2〜3日でピークになります。原因がなくなると比較的速やかに低下するため、治療効果の判定や経過観察に適しています。
- 白血球数は炎症の早い段階から増えますが、CRPは遅れて上昇し、遅れて低下します。発症直後はCRPがまだ低いことがあるため、1回の値だけで炎症を否定してはいけません。
- 基準値は施設によって異なります。看護の教科書では、おおむね0.3 mg/dL以下とされることが多いです。
臨床では、術後の経過観察でよく使われます。手術侵襲そのものでもCRPは上昇し、術後数日でピークを迎えてから下がっていくのが通常の経過です。いったん下がりかけた値が再び上がる場合や、高値が続く場合は、創感染、縫合不全、肺炎などの合併症を疑う手がかりになります。看護師は数値の推移を、発熱や、創部の発赤・腫脹・疼痛・排液の性状などの観察と結びつけて評価します。
CRP以外の炎症の指標
- 赤血球沈降速度(赤沈):炎症でフィブリノゲンや免疫グロブリンが増えると亢進します。CRPより変化がゆっくりで、貧血や血漿蛋白の量の影響も受けます。慢性炎症の評価に用いられます。
- 白血球数の増加と、好中球の核の左方移動:細菌感染症で目立ちます。
- プロカルシトニン:細菌感染症、特に敗血症の診断補助に用いられます。
腫瘍マーカー・自己抗体との違い
腫瘍マーカーは、がん細胞が産生する物質などを測定する検査です。主な用途は治療効果の判定や再発の発見で、早期発見には向かないものが多くあります。自己抗体は、自分の体の成分に対する抗体で、膠原病などの診断の補助に用います。どちらも「炎症の程度」を量的に示す検査ではない点で、炎症マーカーとは役割が異なります。
選択肢の確認
1.CA19-9:糖鎖抗原の一種で、膵癌や胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)で上昇する代表的な腫瘍マーカーです。治療効果の判定や再発の目安に用いますが、炎症の有無や程度を示す指標ではありません。胆管炎、閉塞性黄疸、膵炎などの良性疾患でも上昇することがあるため、炎症と関連づけて取り違えやすい項目です。分類上はあくまで腫瘍マーカーです。また、ルイス式血液型が陰性の人では癌があっても産生されず、上昇しません。
2.抗核抗体:細胞の核に含まれる成分(DNAなど)に対する自己抗体の総称です。全身性エリテマトーデス(SLE)では高い割合で陽性となり、全身性強皮症、シェーグレン症候群、混合性結合組織病などでも陽性になります。膠原病のスクリーニングに用い、陽性か陰性か、どの程度の抗体価かを見る検査で、炎症の強さを反映する指標ではありません。健康な高齢者でも低い抗体価で陽性になることがあります。SLEの診断では、より特異性の高い抗ds-DNA抗体や抗Sm抗体を確認します。
3.C反応性蛋白質〈CRP〉:正答。炎症性サイトカイン(主にIL-6)の刺激で肝臓から産生される急性期蛋白です。原因を問わず、炎症や組織傷害に伴って上昇し、改善すると低下します。炎症の有無と経過を追う代表的な炎症マーカーです。
4.リウマトイド因子〈RF〉:免疫グロブリンG(IgG)のFc部分に対する自己抗体で、関節リウマチの診断の補助に用いられます。関節リウマチの患者の多くで陽性になりますが、健康な高齢者、他の膠原病、慢性肝疾患などでも陽性となることがあり、特異度は高くありません。そのため、関節リウマチの診断では特異度の高い抗CCP抗体も用います。関節リウマチの病勢(炎症の強さ)はCRPや赤沈で評価します。「リウマチ=炎症」という連想から炎症マーカーと取り違えないようにしましょう。
覚えるポイント
- 炎症マーカーの代表はCRP(肝臓で作られる急性期蛋白)です。ほかに赤沈、白血球数、プロカルシトニンなどがあります。
- CRPは原因を問わず上昇する非特異的な指標で、白血球数より遅れて上昇し、遅れて低下します。
- 腫瘍マーカーの組み合わせ:CA19-9(膵癌・胆道癌)、CEA(大腸癌などの消化器癌)、AFP・PIVKA-Ⅱ(肝細胞癌)、PSA(前立腺癌)、CA125(卵巣癌)。
- 自己抗体の組み合わせ:抗核抗体(膠原病のスクリーニング、SLEで高率に陽性)、リウマトイド因子・抗CCP抗体(関節リウマチ)、抗ds-DNA抗体・抗Sm抗体(SLE)。
- 術後のCRPは手術侵襲で上昇し、数日でピークを迎えた後に低下します。再上昇や高値の持続は、感染などの合併症を疑うサインです。
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