112AM046|第112回 看護師国家試験 過去問

放射線治療で人体の吸収線量を表す単位はどれか。

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正解: 3

正答

3.Gy

この問題のポイント

放射線に関する単位を「何を量っているか」で区別できるかを問う問題です。手がかりは問題文の「放射線治療」と「吸収線量」です。組織1kgあたりに吸収されたエネルギーを表すグレイ(Gy)を選びます。放射能(Bq)、人体への影響を評価するための防護量(Sv)、放射線1個のエネルギー(eV)との違いを整理しておくことが大切です。

解説

放射線に関する量は、「放射線を出す側」「放射線そのもの」「放射線を受ける側」のどこに着目するかで単位が変わります。

  • 放射能(出す側)=ベクレル(Bq):放射性物質が1秒間に崩壊する原子核の数です。1Bqは、1秒間に1個の原子核が崩壊することを表します。
  • エネルギー(放射線そのもの)=電子ボルト(eV):光子や粒子1個が持つエネルギーの大きさです。
  • 吸収線量(受ける側の物理量)=グレイ(Gy):物質1kgあたりに吸収されたエネルギーです。1Gy=1J/kgです。
  • 等価線量・実効線量(受ける側の影響評価)=シーベルト(Sv):吸収線量に、放射線の種類や臓器の感受性による重みを付けた量です。

放射線治療でGyを使う理由

放射線治療の効果と有害事象は、腫瘍や周囲の正常組織にどれだけのエネルギーが与えられたかという物理的な線量で決まります。そのため治療計画では、腫瘍への処方線量や、脊髄・肺・直腸などのリスク臓器が受ける線量をGyで表します。管理は「1回線量×照射回数=総線量」の形で行います。

通常分割照射では、1回1.8〜2Gy程度を平日に毎日照射し、数週間かけて総線量に到達させます。分割する主な目的は、照射の合間に正常組織が損傷から回復する時間を確保することです。

なお、陽子線や重粒子線の治療では、生物学的効果の違いを加味して「Gy(RBE)」と表記されることがあります。この場合も基本となる単位はGyです。

GyとSvの違い(最も混同しやすい点)

等価線量は「吸収線量×放射線加重係数」で求めます。係数はX線・γ線・電子線が1、α線が20です。そのため、同じ吸収線量でもα線のほうが人体への影響が大きく評価されます。

実効線量は、各臓器の等価線量に組織加重係数を掛けて合計したものです。がんや遺伝的影響といった確率的影響のリスクを、全身で比較するための防護量です。

つまり、Svは被ばくを管理・比較するための単位です。職業被ばく、画像検査による患者の被ばく、公衆被ばくなどの評価に使います。一方、限られた部位に高線量を照射する治療で起こる組織反応(確定的影響)の評価には向きません。このため治療線量はGyで表します。

看護実践とのつながり

  • 治療中の観察:放射線皮膚炎や粘膜炎などの有害事象は、累積線量が増えるにつれて出現・増悪しやすくなります。看護師は「現在何Gyまで照射されたか」を把握したうえで、皮膚や粘膜の状態を観察し、セルフケアを支援します。
  • 核医学:放射性ヨウ素内用療法などでは、投与する放射性医薬品の量をBqで表します。
  • 医療者の被ばく管理:看護師自身の被ばくは、個人線量計で測定しSvで管理します。電離放射線障害防止規則では、放射線業務従事者の実効線量限度を「5年間につき100mSv、かつ1年間につき50mSv」と定めています。被ばくを減らすには、防護の3原則(時間・距離・遮蔽)を実践します。

選択肢の確認

1.Bq:ベクレルは、放射性物質が1秒間に崩壊する原子核の数を表す放射能の単位です。放射線を「出す側」の強さを示すもので、人体がどれだけのエネルギーを吸収したかは表せません。食品中の放射性物質の濃度(1kgあたりのベクレル)や、核医学で投与する放射性医薬品の量を表すときに使います。治療や検査に関わる単位ではありますが、吸収線量ではない点を取り違えないようにします。

2.eV:電子ボルトは、電子1個が1ボルトの電位差で加速されたときに得るエネルギーです。放射線1個あたりのエネルギーの大きさ(線質)を表します。放射線治療でも、電子線のエネルギーをメガ電子ボルト単位で示すなどの形で登場します。しかし、組織1kgあたりに吸収されたエネルギーの総量ではないため、吸収線量の単位にはなりません。

3.Gy:正答。グレイは、物質1キログラムあたりに吸収された放射線のエネルギーを表す吸収線量の単位で、1グレイは1ジュール毎キログラムです。放射線治療の処方線量・1回線量・総線量は、いずれもこの単位で表します。

4.Sv:シーベルトは、吸収線量に放射線加重係数や組織加重係数を掛けて求める等価線量・実効線量の単位です。人体への影響を評価・比較するための防護量で、職業被ばくの線量限度や画像検査の被ばく量の説明に使います。治療で腫瘍や組織に与える線量はグレイで表すため、この問題の答えにはなりません。問題文の「人体」という言葉につられて選ばないよう注意します。

覚えるポイント

  • 単位の対応は、放射能=Bq(1秒間の崩壊数)、吸収線量=Gy(1Gy=1J/kg)、等価線量・実効線量=Sv、放射線1個のエネルギー=eVです。
  • 放射線治療の線量(処方線量・1回線量・総線量)はGyで表します。通常分割照射は1回1.8〜2Gy程度です。
  • 等価線量=吸収線量×放射線加重係数(X線・γ線・電子線は1、α線は20)です。実効線量は、臓器ごとの組織加重係数を掛けて合計した量です。
  • Svは放射線防護の単位です。放射線業務従事者の実効線量限度は、5年間で100mSvかつ1年間で50mSvです。防護の3原則は時間・距離・遮蔽です。
  • 旧単位との対応は、rad→Gy(1Gy=100rad)、rem→Sv(1Sv=100rem)、Ci→Bqです。X線・γ線が空気を電離する量である照射線量の単位はC/kgです。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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