112PM031|第112回 看護師国家試験 過去問
令和2年度(2020年度)の家族に関する調査で正しいのはどれか。
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正解: 4
正答
4.雇用均等基本調査では男性の育児休業取得率が12.65%である。
この問題のポイント
家族や世帯に関わる統計について、調査名、数値、傾向の組み合わせを正しく覚えているかを問う問題です。問われているのは、合計特殊出生率の水準、共働き世帯と専業主婦世帯のどちらが多いか、同居期間別の離婚の割合、男性の育児休業取得率の4つです。選択肢1の1.54は平成2年(1990年)の値で、「令和2年」と「平成2年」を取り違えやすい数値です。
解説
調査の種類と集計期間
最初に、各選択肢に出てくる調査の性格を整理します。
- 人口動態調査:出生・死亡・婚姻・離婚・死産の届出をもとにした厚生労働省の調査です。結果は人口動態統計として公表され、暦年(1〜12月)で集計します。
- 労働力調査:総務省が毎月行う世帯対象の調査で、就業や失業の状況を把握します。共働き世帯数などは詳細集計から得られます。
- 雇用均等基本調査:厚生労働省が企業・事業所を対象に行う調査です。育児休業の取得状況など、男女の雇用均等の実態を把握します。結果は「年度」単位で公表されます。
男性の育児休業取得率
雇用均等基本調査では、育児休業取得率を次のように求めます。
- 分母:調査基準日(10月1日)の前の1年間に出産した女性。男性の場合は、配偶者が出産した男性です。
- 分子:分母のうち、調査基準日までに育児休業を開始した人です。開始予定の申出をしている人も含みます。
令和2年度の男性の取得率は12.65%でした。前年度の7.48%から大きく伸び、初めて1割を超えました。一方、女性の取得率は81.6%で、8割台を維持しています。男女の差は非常に大きい状態でした。
その後の制度改正も押さえておきます。育児・介護休業法の改正により、次の仕組みが導入されました。
- 2022年4月:事業主に2つのことが義務づけられました。育児休業を取得しやすい雇用環境の整備と、妊娠・出産を申し出た労働者への個別の制度周知・取得意向の確認です。
- 2022年10月:**出生時育児休業(産後パパ育休)**が創設されました。子の出生後8週間以内に4週間まで取得でき、2回に分けることもできます。
- 2023年4月:従業員1,000人超の企業に、育児休業取得状況の公表が義務づけられました。この義務は2025年4月から300人超の企業に広がっています。
男性の取得率はその後も上昇を続けました。令和3年度は13.97%、令和4年度は17.13%です。産後パパ育休の創設後にあたる令和5年度には30.1%に達しました。
合計特殊出生率
合計特殊出生率は、15〜49歳の女性の年齢別出生率を合計したものです。1人の女性が、その年の年齢別出生率で一生の間に産むと仮定したときの子どもの数に相当します。
令和2年の値は1.33で、出生数は約84万人でした。1.54は平成2年の値です。その前年の平成元年(1989年)は1.57でした。これは丙午(ひのえうま)の昭和41年(1966年)の1.58を下回る値だったため「1.57ショック」と呼ばれ、エンゼルプランなどの少子化対策が始まるきっかけになりました。
人口を維持するのに必要な水準(人口置換水準)は2.07前後です。日本は1970年代半ば以降、この水準を下回り続けています。令和2年以降も低下は続き、令和5年は1.20、令和6年は1.15と過去最低を更新しました。
世帯構成と離婚の動向
労働力調査(2001年以前は労働力調査特別調査)で世帯の構成を見ると、次のように推移しています。ここでいう専業主婦世帯は、夫が非農林業雇用者で妻が非就業者の世帯です。共働き世帯は、夫婦ともに非農林業雇用者の世帯です。
- 1980年代:専業主婦世帯が共働き世帯より多数でした。
- 1992年:共働き世帯が初めて上回りました。
- 1995・1996年:再び専業主婦世帯のほうが多くなりました。
- 1997年以降:一貫して共働き世帯が上回っています。令和2年には、専業主婦世帯のおよそ2倍になっていました。
離婚は、人口動態統計で同居期間別に集計されています。同居期間とは、結婚生活に入ってから同居をやめるまでの期間です。5年ごとに区切ると「5年未満」が最も多い区分ですが、その割合は約3割で、半数には届きません。一方、同居期間20年以上のいわゆる熟年離婚は約2割を占め、長期的に割合が高まっています。離婚件数そのものは、平成14年(2002年)の約29万件をピークに減少傾向です。
臨床とのつながり
これらの統計は、看護の実践にも関わります。共働きが主流になり、男性の育児休業取得も進んでいます。そのため、父親を育児の担い手として支援することが前提になります。両親学級、産褥期の退院指導、NICU入院児の家族支援などでは、父親も支援の対象として考えます。また、少子化が進むと、育児を身近で学ぶ機会が減り、育児の孤立にもつながります。
選択肢の確認
1.人口動態調査では合計特殊出生率が1.54である。:令和2年の合計特殊出生率は1.33であり、記述は誤りです。1.54は平成2年(1990年)の値です。前年の「1.57ショック」と一緒に覚えておくと、元号の取り違えを見抜けます。人口置換水準の2.07前後を大きく下回る状態が長く続いていることも、あわせて押さえておきます。
2.労働力調査では共働き世帯が専業主婦世帯より少ない。:労働力調査では1997年以降、一貫して共働き世帯が専業主婦世帯を上回っています。令和2年には共働き世帯が専業主婦世帯の約2倍に達しており、大小関係が逆なので誤りです。専業主婦世帯のほうが多かったのは1980年代から1990年代半ばまでです。ただし、その途中の1992〜1994年には一時的に共働き世帯が上回っていました。
3.人口動態調査では結婚後5年未満の離婚が約半数である。:同居期間5年未満の離婚は区分別では最も多いものの、全体の約3割にとどまります。「約半数」は過大で誤りです。「5年未満が最多」という知識から「半数」と思い込みやすい点に注意します。同居期間20年以上の割合が上昇していることもよく問われます。
4.雇用均等基本調査では男性の育児休業取得率が12.65%である。:正答。令和2年度の男性の育児休業取得率は12.65%で、前年度の7.48%から上昇し、初めて1割を超えました。女性(81.6%)との差は依然として大きい状況でした。その後は産後パパ育休の創設などを経て、取得率はさらに上がっています。
覚えるポイント
- 合計特殊出生率は令和2年が1.33、令和5年が1.20、令和6年が1.15です。1.57は平成元年、1.54は平成2年の値です。人口置換水準は2.07前後です。
- 労働力調査では、共働き世帯が1992年に初めて専業主婦世帯を上回りました。1995・1996年の再逆転を経て、1997年以降は一貫して多い状態です。令和2年は約2倍です。
- 同居期間別の離婚は「5年未満」が最多区分ですが、約3割にとどまります。20年以上は約2割で上昇傾向です。離婚件数のピークは平成14年です。
- 男性の育児休業取得率(雇用均等基本調査)は、令和元年度7.48%、令和2年度12.65%、令和5年度30.1%と推移しています。女性は8割台です。
- 調査名は、実施主体と集計単位をセットで覚えます。人口動態調査は厚生労働省・暦年、労働力調査は総務省・毎月実施、雇用均等基本調査は厚生労働省・年度です。
- 産後パパ育休は2022年10月に創設されました。子の出生後8週間以内に4週間まで、2回まで分割して取得できます。
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