Y2018M04Q362018年4月公表 エックス線作業主任者免許試験 過去問

エックス線の生体に与える影響に関する知識細胞・DNA・染色体

放射線の生体に対する作用に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

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正解: 5

正答

(5)

この問題のポイント

二次電子が標的高分子を直接電離・励起するのが直接作用、水の放射線分解で生じたフリーラジカルが損傷を与えるのが間接作用です。標的酵素の濃度低下とともに不活性化率が上がる現象は間接作用による希釈効果です。

解説

直接作用は二次電子がDNAや蛋白質などの標的分子そのものを電離・励起する経路です。間接作用は水の放射線分解でできたラジカルが標的を損傷する経路で、低LETのX線で大きな寄与を持ちます。したがって水由来ラジカルを直接作用とした記述1、標的分子の電離を間接作用とした記述2は名称が逆です。SH化合物のラジカル捕捉と酸素による損傷固定は間接作用を修飾します。標的酵素の濃度が低いほど不活性化割合が増す記述5は希釈効果の正しい説明です。

選択肢の確認

1.放射線によって水分子がフリーラジカルになり、これが生体高分子を破壊し、細胞に障害を与えることを直接作用という。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。水の放射線分解で生じたフリーラジカルが生体高分子を損傷する経路は間接作用です。標的分子を二次電子が直接電離する経路ではないため名称が逆です。

2.エックス線などの間接電離放射線により発生した二次電子が生体高分子を電離又は励起し、細胞に障害を与えることを間接作用という。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。二次電子が生体高分子そのものを電離又は励起して損傷を与える経路は直接作用です。水とラジカルを介さないので、間接作用とする名称が誤りです。

3.生体中にシステインなどのSH 基を有する化合物が存在すると放射線効果が軽減されることは、直接作用により説明される。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。システインなどのSH化合物は遊離ラジカルを捕捉し、水由来ラジカルによる損傷を減らします。この防護効果は主に間接作用の修飾で説明します。

4.生体中に存在する酸素の分圧が高くなると放射線効果が増大することは、間接作用では説明できない。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。酸素はラジカル由来の損傷を化学的に固定して放射線効果を増強します。酸素効果は間接作用と密接に関係するため、説明できないという記述が誤りです。

5.溶液中の酵素の濃度を変えて同一線量の放射線を照射するとき、酵素の濃度が減少するに従って、酵素の全分子数のうち不活性化されたものの占める割合が増大することは、間接作用により説明される。
○ 判定:正答(記述は正しい)。同じラジカル数に対して標的酵素分子が少ないほど、不活性化される分子の割合が大きくなる希釈効果です。ラジカルを介する間接作用の特徴なので正しい記述です。

覚えるポイント

システインなどのSH化合物はラジカルを捕捉します。酸素はラジカルによる標的損傷を化学的に固定するため、低LETのX線で生物効果を強めます。

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