34Q28第34回 介護福祉士国家試験 過去問

介護コミュニケーション技術

介護福祉職によるアサーティブ・コミュニケーション(assertive communication)として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 5

正答

5.利用者の思いを尊重しながら、介護福祉職の意見を率直に伝える。

この問題のポイント

アサーティブ・コミュニケーションとは、自分の権利や意見だけを押し通すことでも、相手に合わせて我慢することでもありません。相手を尊重しながら、自分の考えや必要な情報を率直かつ適切に伝える方法です。

介護場面では、利用者の意思を尊重すると同時に、専門職として安全上の懸念やサービス上の限界をわかりやすく説明します。

解説

対人コミュニケーションの表現には、受け身的、攻撃的、アサーティブな表現があります。受け身的な表現では、自分の意見や限界を伝えずに我慢し、相手の要求をそのまま受け入れます。攻撃的な表現では、自分の考えを優先し、相手を説得、非難、支配しようとします。

アサーティブな表現では、自分と相手の双方を尊重します。まず相手の話を聴き、気持ちや希望を確認します。そのうえで、「私はこの点が心配です」「安全のためにはこの方法が必要です」のように、自分の立場と根拠を具体的に伝えます。可能な選択肢を示し、相手と一緒に解決策を探します。

利用者の要求を何でも受け入れることは、本人の自己決定を尊重することと同じではありません。契約外の内容、危険な行為、他者の権利を侵害する要求については、理由を説明して断る必要があります。一方で、「専門職の提案に従えば本人のためになる」と一方的に決めることも、パターナリズム、つまり本人に代わって専門職が決定する態度になり得ます。

苦情を受けたときも、黙って我慢したり、すぐに反論したりせず、まず内容を確認します。事実を整理し、謝罪すべき点は認め、できることとできないことを説明します。相手の尊厳を守りながら、介護福祉職自身の安全と専門的責任も守ることがアサーティブな対応です。

ひっかけポイント
「利用者本位」は、利用者の要求に無条件で従うことではありません。本人の希望を尊重しつつ、安全、法令、契約、他者の権利を踏まえて対話します。

介護実践でのポイント
感情的な決めつけを避け、観察した事実、自分の気持ち、必要なこと、提案の順に伝えると整理しやすくなります。相手が選べる方法を示し、合意形成を目指します。

選択肢の確認

1.利用者の要求は、何も言わずにそのまま受け入れる。
適切ではありません。
自分の意見や専門的な判断を伝えずに受け入れるのは、受け身的な対応です。要求の背景を聴き、できることとできないこと、その理由を丁寧に伝えます。

2.利用者から苦情を言われたときは、沈黙して我慢する。
適切ではありません。
苦情の内容を確認せず我慢するだけでは、問題の解決にもサービス改善にもつながりません。相手の話を聴き、自分の立場や今後の対応を落ち着いて伝えます。

3.利用者を説得して介護福祉職の都合に合わせてもらう。
適切ではありません。
介護福祉職の都合を優先して利用者を従わせるのは、攻撃的・支配的な対応です。利用者の生活や希望を中心に、双方が納得できる方法を検討します。

4.介護福祉職の提案に従うことが利用者の利益になると伝える。
適切ではありません。
専門職の提案が有益な場合でも、「従うこと」を前提にしてはいけません。根拠、利点、リスク、代替案を説明し、利用者が理解して選択できるように支援します。

5.利用者の思いを尊重しながら、介護福祉職の意見を率直に伝える。
正答。最も適切です。
相手の意思と権利を尊重しつつ、自分の意見や専門的な懸念を誠実に伝える対応です。双方を大切にし、対話による解決を目指すアサーティブ・コミュニケーションに当たります。

覚えるポイント

アサーティブとは、自分と相手の双方を尊重する自己表現です。

受け身的な対応は我慢や無条件の受入れ、攻撃的な対応は説得や支配に偏ります。

相手の話を聴いたうえで、事実、理由、自分の意見、選択肢を率直に伝えます。

利用者本位は、要求へ無条件に従うことではなく、十分な説明と対話によって本人の選択を支えることです。

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