35Q36|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
高齢期の腎・泌尿器系の状態や変化に関する次の記述のうち,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 3
正答
3.尿の濃縮力が低下する。
この問題のポイント
高齢期には、腎血流量、糸球体濾過量、尿細管機能などが低下し、必要なときに水分を体内へ保つための尿濃縮力も低下します。そのため、脱水や電解質異常、腎臓から排泄される薬物の蓄積に注意が必要です。
解説
腎臓は、血液から老廃物を濾過して尿をつくるだけでなく、体内の水分、電解質、酸塩基平衡を調節しています。
高齢期には、腎血流量や糸球体濾過量が低下しやすく、尿細管の働きも低下します。その結果、水分が不足したときに尿を濃くして体内の水分を保持する能力、すなわち尿濃縮力が低下します。口渇感の低下や体内水分量の減少も重なるため、高齢者は脱水や高ナトリウム血症などを起こしやすくなります。
高齢者は尿路感染症が非常に少ないのではなく、起こしやすい人がいます。残尿、前立腺肥大症、尿失禁、尿道カテーテル、糖尿病、活動性の低下などが感染のリスクになります。高齢者では典型的な排尿痛や高熱が目立たず、食欲低下、元気のなさ、意識状態の変化などで現れることもあります。ただし、意識の変化だけで尿路感染症と決めつけず、医療職による評価が必要です。
腎盂腎炎では、発熱、悪寒、背部・側腹部痛、吐き気などがみられます。頭痛が主症状ではありません。前立腺肥大症では、尿の勢いが弱い、排尿開始まで時間がかかる、尿が途切れる、残尿感、頻尿、夜間頻尿、尿閉などがみられ、尿道痛が典型的な症状ではありません。
また、加齢により腎機能が低下すると、腎臓から排泄される薬物のクリアランスが低下します。薬物が体外へ排出されるまでの時間は短くなるのではなく、長くなり、体内に蓄積して有害事象を生じる危険が高まります。
ひっかけポイント
高齢者では尿が少なく濃くなると考えがちですが、腎臓が必要に応じて尿を十分に濃くする能力は低下します。「尿量」と「尿を濃縮する能力」を区別して考えます。
介護実践でのポイント
水分摂取量、尿量、排尿回数、尿の色や混濁、排尿時の訴え、体重、発熱、背部・側腹部痛、意識状態の変化を観察します。脱水予防のための水分量は、心不全や腎不全などによる制限の有無を確認し、本人の好みや嚥下状態に合わせます。薬の眠気、ふらつき、食欲低下などがみられても自己判断で中止せず、服薬内容と腎機能を確認できるよう医師、看護職、薬剤師へ報告します。
選択肢の確認
1.尿路感染症(urinary tract infections)を起こすことは非常に少ない。
誤りです。
高齢者では、残尿、前立腺肥大症、尿失禁、尿道カテーテル、糖尿病などによって尿路感染症のリスクが高まります。典型的な症状が目立たないことにも注意が必要です。
2.腎盂腎炎(pyelonephritis)の主な症状は,頭痛である。
誤りです。
腎盂腎炎の主な症状は、発熱、悪寒、背部・側腹部痛、吐き気などです。頭痛は代表的な主症状ではありません。
3.尿の濃縮力が低下する。
正しいです。
加齢に伴う尿細管機能などの低下により、必要なときに尿を濃くして体内の水分を保持する能力が低下します。
4.前立腺肥大症(prostatic hypertrophy)では,尿道の痛みがある。
誤りです。
前立腺肥大症では、尿勢低下、排尿開始の遅れ、尿線途絶、残尿感、頻尿、夜間頻尿、尿閉などがみられます。尿道痛は典型的な症状ではありません。
5.薬物が排出される時間は,短くなる。
誤りです。
加齢により腎血流量、糸球体濾過量、尿細管分泌などが低下すると、腎排泄型薬物の排出は遅くなり、体内に蓄積しやすくなります。
覚えるポイント
- 高齢期には、腎血流量、糸球体濾過量、尿細管機能が低下しやすい。
- 加齢により尿濃縮力が低下し、脱水や電解質異常を起こしやすくなる。
- 高齢者では尿路感染症のリスクが高く、症状が非典型的な場合がある。
- 腎盂腎炎では、発熱、悪寒、背部・側腹部痛などがみられる。
- 前立腺肥大症では、尿勢低下、排尿開始の遅れ、残尿感、頻尿などがみられる。
- 腎機能低下により薬物排泄は遅くなり、有害事象の危険が高まる。
- 水分摂取は、心不全や腎不全による制限の有無を確認して個別に支援する。
- 介護福祉職は診断や処方変更をせず、観察内容を医療職へ報告する。