35Q35|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
加齢の影響を受けにくい認知機能として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.意味記憶
この問題のポイント
意味記憶は、言葉の意味、物の名称、一般的な知識など、特定の日時や場所と結びつかない知識の記憶です。正常な加齢では、エピソード記憶や作業記憶などに比べて比較的保たれやすい認知機能です。
解説
意味記憶とは、「東京は日本の首都である」「りんごは果物である」といった一般的知識や、言葉・概念の意味に関する記憶です。長年の学習や生活経験によって蓄積されるため、正常な加齢の影響を比較的受けにくく、高齢期にも保たれやすいとされています。
これに対して、エピソード記憶は、「昨日誰とどこへ出かけたか」など、特定の日時や場所を伴う個人的な出来事の記憶です。作業記憶は、電話番号を一時的に覚えながら入力するなど、情報を短時間保持しながら処理する機能です。これらは加齢の影響を受けやすくなります。
選択的注意は、複数の刺激の中から必要な情報を選び、不要な刺激を抑える機能です。高齢期には、周囲の雑音や複数の情報がある状況で、必要な内容へ注意を向け続けることが難しくなる場合があります。
流動性知能は、過去の知識だけに頼らず、新しい問題の関係を見いだして素早く処理・解決する能力です。処理速度などとともに加齢の影響を受けやすい一方、経験や学習によって蓄積された知識に関係する結晶性知能は比較的保たれます。
意味記憶も全く変化しないわけではありません。知っている人の名前や言葉がすぐに出てこない「喉まで出かかっている」状態は増えることがあります。したがって、「意味記憶が保たれる」とは、知識そのものが比較的維持されるという意味です。
ひっかけポイント
「思い出すのに時間がかかる」ことと、「知識そのものを失っている」ことは異なります。正常な加齢では語の検索速度が遅くなることがあっても、言葉の意味や一般知識である意味記憶は比較的保たれます。
介護実践でのポイント
高齢者がすぐに答えられないときも、「わからない」「認知症だ」と決めつけず、急かさずに待ちます。選択肢を示す、最初の音を伝える、写真や実物を見せるなど、本人が蓄えてきた知識を使いやすくする手がかりを工夫します。急激な認知機能の変化、日内変動、意識の変化がある場合は、正常な加齢と決めつけず、せん妄や身体疾患の可能性を考えて医療職へ報告します。
選択肢の確認
1.エピソード記憶
誤りです。
エピソード記憶は、いつ、どこで、何をしたかという個人的な出来事の記憶です。新しい出来事を記憶して思い出す機能は、加齢の影響を受けやすくなります。
2.作業記憶
誤りです。
作業記憶は、情報を一時的に保持しながら同時に処理する機能です。複数の情報を扱う力や処理速度と関係し、加齢の影響を受けやすい認知機能です。
3.選択的注意
誤りです。
選択的注意は、必要な刺激へ注意を向け、不要な刺激を抑える機能です。加齢により、雑音の多い場所などで必要な情報を選び取ることが難しくなる場合があります。
4.流動性知能
誤りです。
流動性知能は、新しい情報を用いて未知の問題を推理・解決する能力です。一般に加齢の影響を受けやすく、処理速度とともに低下しやすいとされています。
5.意味記憶
正しいです。
意味記憶は、言葉の意味、概念、一般知識などに関する記憶です。長年の学習や経験によって蓄積され、正常な加齢では比較的保たれやすい認知機能です。
覚えるポイント
- 意味記憶は、言葉の意味、概念、一般知識に関する記憶である。
- 意味記憶は正常な加齢の影響を比較的受けにくい。
- エピソード記憶は、日時や場所を伴う個人的な出来事の記憶である。
- 作業記憶は、情報を一時的に保持しながら処理する機能である。
- 選択的注意は、必要な刺激を選び、不要な刺激を抑える機能である。
- 流動性知能は、新しい問題を推理・解決する能力で、加齢の影響を受けやすい。
- 正常な加齢による変化と、認知症やせん妄による変化を同一視しない。