35Q34第35回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ発達と老化の理解

ストローブ(Stroebe, M.S.)とシュト(Schut, H.)による悲嘆のモデルでは、死別へのコーピングには喪失志向と回復志向の2種類があるとされる。 喪失志向のコーピングとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 2

正答

2.悲しい気持ちを語る。

この問題のポイント

ストローブとシュトの二重過程モデルでは、死別に伴う悲しみや故人との関係に向き合うことを「喪失志向」、死別後の新しい役割や生活へ適応することを「回復志向」と捉えます。悲しい気持ちを語ることは、喪失そのものに向き合う喪失志向のコーピングです。

解説

ストローブとシュトによる悲嘆の二重過程モデルでは、死別後のコーピングを「喪失志向」と「回復志向」の二つに整理します。

喪失志向のコーピングとは、亡くなった人を思う、死別した事実について考える、悲しみや寂しさを感じる、故人との思い出や関係を振り返るなど、喪失そのものから生じるストレスに向き合うことです。悲しい気持ちを語ることは、死別に伴う感情を表現して喪失と向き合うため、喪失志向に該当します。

回復志向のコーピングとは、死別によって生じた生活上の変化に対応することです。新しい役割を担う、生活の仕方を変える、新しい人間関係や活動を始める、故人が担っていた家事や手続を行うなどが含まれます。

このモデルで特に重要なのが「揺れ動き」です。悲嘆を抱える人は、喪失に向き合う時間と、新しい生活へ取り組む時間の間を行き来します。悲しみから一時的に離れて活動することも、故人を思って再び悲しくなることも、どちらかが間違っているわけではありません。

ひっかけポイント

選択肢1・3・4・5も、死別後の生活を支える健全な行動になり得ます。ただし、いずれも新しい人間関係、活動、生活への適応であり、分類上は回復志向です。「よい行動か」ではなく、「喪失そのものに向き合っているか」で判断します。

介護実践でのポイント

悲嘆の表れ方や経過は一人ひとり異なります。本人が話したいときは遮らずに聴き、話したくないときに無理に感情を語らせたり、「早く立ち直って」と回復を急がせたりしません。喪失への思いを受け止めながら、本人が望む場合には食事、手続、生活リズム、人とのつながりなどの実際的な支援も行います。強い抑うつ、自傷・自殺を考える発言、著しい生活機能の低下がみられるときは、安全を確認して速やかに医療職や相談機関へつなぎます。

選択肢の確認

1.しばらく連絡していなかった旧友との交流を深める。

誤りです。
旧友との交流を再開して新しい支えや生活上のつながりをつくることは、死別後の生活へ適応する回復志向のコーピングです。

2.悲しい気持ちを語る。

正しいです。
死別に伴う悲しみを言葉にして表現することは、喪失そのものと、それによって生じた感情に向き合う喪失志向のコーピングです。

3.新たにサークル活動に参加を申し込む。

誤りです。
新しい活動や人間関係を始めることは、死別後の生活を再構築する回復志向のコーピングです。

4.ボランティア活動に励む。

誤りです。
ボランティアという新しい役割や活動に取り組むことは、生活の再構築に関わる回復志向のコーピングです。

5.新しい生活に慣れようとする。

誤りです。
死別によって変化した生活や役割へ適応しようとすることは、回復志向のコーピングです。

覚えるポイント

  • 喪失志向は、死別、故人、悲しみなど、喪失そのものに向き合うことである。
  • 回復志向は、死別後の新しい役割や生活へ適応することである。
  • 悲しい気持ちを語ることは喪失志向である。
  • 新しい人間関係、活動、役割、生活への適応は回復志向である。
  • 悲嘆では、喪失志向と回復志向の間を揺れ動く。
  • 悲嘆の順序や期間を一律に決めつけず、本人のペースと希望を尊重する。
  • 強い抑うつや自傷・自殺の危険が疑われるときは、速やかに専門的支援へつなぐ。

関連問題

35Q3335Q35
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)