35Q67|第35回 介護福祉士国家試験 過去問
Aさん(85 歳,女性,要介護 1 )は夫と二人暮らしで,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用している。Aさんは認知症(dementia)の進行によって,理解力の低下がみられる。ある日,Aさんが訪問介護員(ホームヘルパー)に,「受けているサービスをほかのものに変更したい」「夫とは仲が悪いので話したくない」と,不安な様子で話した。意思決定支援を意識した訪問介護員(ホームヘルパー)の対応として,最も適切なものを 1 つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.サービスを変更したい理由についてAさんに確認した。
この問題のポイント
認知症があり理解力が低下していても、本人に意思がないと決めつけてはいけません。意思決定支援では、まず本人の希望と、その希望に至った理由を丁寧に確認し、理解しやすい情報を提供して、本人が選べるように支えます。
この問題では、家族や介護者が代わりに決めるのではなく、Aさん本人を意思決定の中心に置けているかを判断します。
解説
Aさんは、「サービスを変更したい」「夫とは仲が悪いので話したくない」と、自分の希望を言葉で表しています。訪問介護員が最初に行うべきことは、なぜ変更したいのか、現在のサービスの何に困っているのか、どのような生活を望んでいるのかを、Aさん本人に確認することです。
認知症の人の意思決定支援では、本人が意思を形成し、表明し、実現できるように支えます。意思決定能力を「ある・ない」と固定的に決めるのではなく、内容、場面、体調、説明方法によって変わり得るものとして考えます。短い言葉、具体的な選択肢、図や写真、繰り返しの説明、落ち着いた時間と場所などを工夫します。
Aさんは夫と話したくないと明確に伝えています。切迫した安全上の問題がない場面で、本人の同意を得ずに夫を同席させたり、相談内容を夫へ先に伝えたりすると、Aさんが安心して意思を表明できなくなる可能性があります。まず本人が話しやすい環境を整えます。
訪問介護員は、Aさんの希望と理由を記録し、本人の同意を得ながら、サービス提供責任者や介護支援専門員などへ報告・相談します。サービス変更を訪問介護員が単独で決めるのではなく、Aさんを中心に、必要な関係者と検討します。
夫との関係について、暴力や経済的支配など安全上の問題が疑われる情報が出た場合は、本人の安全を確保し、組織内で速やかに報告して適切な機関と連携します。ただし、事例の情報だけで関係を決めつけず、まずAさんの話を聴きます。
介護実践でのポイント
意思決定支援は「本人に決めさせて放置すること」でも「家族や専門職が代わりに決めること」でもありません。本人が理解し、表明し、実現できるように必要な支援を行います。
選択肢の確認
1.Aさんとの話し合いの場に初めから夫に同席してもらった。
適切ではありません。
Aさんは夫と話したくないと表明しています。本人の同意なく最初から同席を求めると、安心して意思を表明できなくなる可能性があります。
2.Aさんにサービス変更の決断を急ぐように伝えた。
適切ではありません。
意思決定には、情報を理解し考える時間が必要です。急がせると、本人の自由な意思形成を妨げます。
3.Aさんと話す前に相談内容を夫に話した。
適切ではありません。
本人の同意なく相談内容を夫へ伝えることは、プライバシーと意思を損ないます。まずAさん本人の話を確認します。
4.サービスを変更したい理由についてAさんに確認した。
正答。最も適切です。
本人の希望の背景を丁寧に聴くことは、意思形成を支え、本人に合ったサービスを検討する出発点になります。
5.訪問介護員(ホームヘルパー)がサービス変更をすることを判断した。
適切ではありません。
訪問介護員が本人に代わって単独で決めるものではありません。Aさんの意思を中心に、介護支援専門員やサービス提供責任者などと連携して検討します。
覚えるポイント
認知症があっても、本人に意思があることを前提にします。
最初に本人の希望と理由を確認します。
説明方法、時間、場所を工夫し、本人が理解して選べるように支えます。
家族への情報共有や同席は、原則として本人の意思と同意を確認して進めます。