36Q53|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
Bさん(60歳、男性)は、一人暮らしをしている。糖尿病性網膜症(diabetic retinopathy)による視覚障害(身体障害者手帳1級)があり、末梢神経障害{まっしょうしんけいしょうがい}の症状がでている。Bさんの日常生活において、介護福祉職が留意すべき点として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 4
正答
4.足先の傷や壊疽{えそ}などの病変
この問題のポイント
糖尿病性末梢神経障害では、足先の痛みや温度を感じにくくなるため、小さな傷、靴ずれ、やけどなどに本人が気づかないことがあります。
Bさんには重度の視覚障害もあり、自分で足を目視することが難しいため、足病変の早期発見と予防を本人と相談しながら支援することが重要です。
解説
糖尿病性末梢神経障害では、足先のしびれや痛みが現れる一方、進行すると痛覚、温度覚、触覚などが低下します。そのため、靴ずれ、小さな切り傷、やけど、たこ、ひび割れなどが生じても、本人が気づかないまま悪化することがあります。
糖尿病では、末梢動脈疾患による血流低下や感染への抵抗力の低下を伴うこともあります。傷が治りにくく、感染、潰瘍、組織の壊死、壊疽へ進行し、重症の場合には下肢切断につながる危険があります。
Bさんには糖尿病性網膜症による重度の視覚障害があるため、足の色や小さな傷を自分で確認することが困難です。介護福祉職は本人の同意を得て、足の甲、足底、かかと、足指の間、爪の周囲などを観察し、発赤、腫れ、水疱、傷、出血、たこ、ひび割れ、変色などがないかを確認します。
異常を見つけた場合は自己判断で処置せず、速やかに看護職や医師へ報告します。また、裸足を避ける、靴の中に異物がないか確認する、足に合った靴を使用する、低温やけどを防ぐなどの予防も重要です。
Bさんは一人暮らしをしているため、介護福祉職が一方的に管理するのではなく、本人が続けやすい確認方法や支援の頻度を一緒に決めます。触れて確認する方法、音声機器、訪問支援、医療職によるフットケアなどを組み合わせ、本人の自立と安全の両方を支えます。
ひっかけポイント
「視覚障害」があるため目の病変を選びたくなりますが、設問の決め手は「末梢神経障害」です。感覚低下によって足の傷に気づきにくくなり、重症化しやすいことから、足病変に最も注意します。
介護実践でのポイント
「痛くないから大丈夫」とは判断しません。毎日の足の観察、清潔と乾燥の保持、適切な履物、やけど予防を本人と協力して行います。発赤、腫れ、熱感、水疱、傷、変色などを見つけた場合は、早めに医療職へつなぎます。
選択肢の確認
1.水晶体の白濁
誤りです。
水晶体の白濁は白内障でみられます。糖尿病性網膜症は網膜の血管が障害される病気であり、水晶体の白濁とは異なります。また、末梢神経障害により特に注意する病変は足病変です。
2.口腔粘膜{こうくうねんまく}や外陰部の潰瘍
誤りです。
口腔粘膜や外陰部に繰り返す潰瘍は、ベーチェット病などでみられる症状です。糖尿病性末梢神経障害の特徴的な病変ではありません。
3.振戦や筋固縮
誤りです。
振戦や筋固縮はパーキンソン病で代表的にみられる症状です。糖尿病性末梢神経障害の特徴ではありません。
4.足先の傷や壊疽{えそ}などの病変
正しいです。
末梢神経障害による感覚低下で足先の傷に気づきにくく、血流低下や感染が重なると、潰瘍や壊疽へ進行する危険があります。視覚障害のあるBさんには、足の継続的な観察が特に重要です。
5.感音性の難聴
誤りです。
感音性難聴は、内耳や聴神経などの障害によって生じます。この事例で示された糖尿病性末梢神経障害から、日常生活上最も注意すべき病変ではありません。
覚えるポイント
糖尿病性末梢神経障害では、足先の感覚が低下します。
小さな傷ややけどに気づかず、潰瘍や壊疽へ進むことがあります。
糖尿病性足病変では、神経障害、血流低下、感染が重症化に関係します。
重度の視覚障害がある場合は、本人だけでの目視確認が困難です。
本人の同意を得て継続的に足を観察し、異常は早めに医療職へ報告します。