37Q103|第37回 介護福祉士国家試験 過去問
終末期の介護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5.せん妄によって話のつじつまが合わないときは、否定せずに受け止める。
この問題のポイント
終末期の介護では、決められた日課を優先するのではなく、本人の苦痛を和らげ、意思、希望、生活習慣を尊重することが基本です。
せん妄によって話の内容が現実と合わない場合は、強く訂正したり否定したりせず、本人が感じている不安や恐怖を受け止め、安心できるように関わります。
解説
終末期には、全身状態の低下に伴って、食欲低下、倦怠感、傾眠、呼吸困難、意識状態の変化、せん妄などがみられることがあります。介護福祉職は、本人の意思と尊厳を中心に、少しでも安楽に過ごせるように支援し、状態の変化を医療・ケアチームと共有します。
せん妄は、身体に負担がかかったときに急に起こる意識や認知機能の変化です。話のつじつまが合わない、時間や場所が分からない、見えないものが見える、落ち着かない、逆に反応が乏しくなるなどの症状がみられます。話を強く否定して正そうとすると、不安や混乱が増すことがあります。
介護福祉職は、話の内容を事実として同意するのではなく、「怖かったのですね」「心配なのですね」など、本人が表している感情を受け止めます。落ち着いた声で安心を伝え、安全な環境を整えます。同時に、痛み、脱水、感染、便秘、尿閉、低酸素、薬の影響など、せん妄を起こしたり悪化させたりする要因がないか観察し、看護職や医師へ速やかに報告します。
終末期であっても、食事、換気、声かけ、体位は本人の状態に合わせます。食事は食べたい時間、量、内容を尊重し、嚥下状態を確認して無理強いしません。反応が乏しくても聞こえている可能性があるため、介護の前には名前を呼び、これから行うことを穏やかに説明します。呼吸困難時は、上半身を起こすなど、本人が楽に呼吸できる姿勢を整えます。
ひっかけポイント
「静かに休ませること」と「何も伝えずに介護すること」は異なります。また、せん妄の話を否定しないことは、その内容を事実として肯定することではありません。本人の感情を受け止め、安心を支えます。
介護実践でのポイント
本人の表情、呼吸、皮膚色、食事・水分量、排泄、睡眠、意識状態を観察します。苦痛や急な変化があれば一人で判断せず、医療・ケアチームへ共有し、本人と家族の希望を確認しながら支援を調整します。
選択肢の確認
1.決まった時間に食事を提供する。
誤りです。 終末期には食欲や覚醒状態が変化するため、施設の日課を優先して決まった時間に食べることを求めるのは不適切です。本人が食べたいときに、希望するものを無理のない量で提供し、嚥下状態にも配慮します。
2.部屋の換気は控えるようにする。
誤りです。 室内の空気や臭いを整えることは、本人の快適さにつながります。呼吸困難時には、換気や心地よい弱い風によって楽になる場合もあります。寒さや本人の希望に配慮しながら換気します。
3.無反応のときは無言で静かに介護を行う。
誤りです。 反応がなくても、声が聞こえている可能性があります。名前を呼び、これから行う介護を穏やかに説明しながら、尊厳を保って関わります。突然身体へ触れないことも安心につながります。
4.呼吸困難時は、顎を下げて頭部を前屈させた仰臥位{ぎょうがい}(背臥位{はいがい})にする。
誤りです。 仰臥位で頭部を前屈させると気道が狭くなり、呼吸がさらに苦しくなる可能性があります。上半身を起こしたファウラー位や座位など、本人が呼吸しやすい姿勢を整え、速やかに看護職や医師へ報告します。
5.せん妄によって話のつじつまが合わないときは、否定せずに受け止める。
正しいです。 つじつまの合わない話を強く否定したり訂正したりすると、不安や混乱が増すことがあります。話の背景にある不安や恐怖を受け止め、安心できるように対応します。同時に、身体的な原因を観察して多職種へ報告します。
覚えるポイント
- 終末期の介護では、日課より本人の安楽、意思、希望を優先する。
- 食事は時間や量を強制せず、食べたいときに無理なく提供する。
- 反応が乏しくても、説明と穏やかな声かけを続ける。
- 呼吸困難時は上半身を起こし、本人が楽に呼吸できる姿勢を整える。
- せん妄の話は強く否定せず、感情を受け止めながら、原因と安全を確認して多職種へ報告する。