37Q9|第37回 介護福祉士国家試験 過去問
Aさん(48歳、会社員)は、うつ症状から体調不良が続き、仕事を休むことが増えたため、自主的に退職した。その後、体調は回復したが、再就職先がなかなか見つからなかった。しばらく貯金で生活していたが、数か月後、生活を営むことができなくなってしまった。頼れる親族はなく、生活保護を受給することにした。 この事例において、日本国憲法に基づいてAさんに保障された権利として、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 5
正答
5.生存権
この問題のポイント
生活保護は、日本国憲法第25条に定める生存権の理念を具体化する制度です。
選択肢にある権利はいずれも憲法上の権利に関係しますが、生活に困窮したAさんが最低限度の生活を保障されるという事例に最も直接関係する権利を選びます。
解説
日本国憲法第25条第1項は、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有することを定めています。これが生存権です。同条第2項は、国が社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上と増進に努めることを定めています。
生活保護法は、この憲法第25条の理念に基づき、生活に困窮する人に必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。事例では、Aさんは貯金を使い、生活を営むことができなくなり、生活保護を受給しています。この保障と最も直接結びつくのが生存権です。
Aさんが自主的に退職したという記述だけで、生存権が失われるわけではありません。生活保護の利用は、資産、能力、他制度の利用など、法律に定める要件に基づいて判断されます。介護福祉職は、生活困窮を本人の責任だけに帰さず、必要な制度につながる権利があることを理解して支援します。
団体交渉権、平等権、財産権、思想の自由も憲法が保障する重要な権利です。しかし、この事例で中心となっている「最低限度の生活の保障」と直接結びつくのは生存権です。
ひっかけポイント
「ほかの選択肢が憲法上の権利ではない」という問題ではありません。事例と最も直接結びつく権利を選ぶ問題です。
介護実践でのポイント
経済的に困っている人に対して、努力不足などと決めつけないことが大切です。本人の尊厳とプライバシーを守り、福祉事務所、生活困窮者自立相談支援機関など、必要な相談先につなぎます。
選択肢の確認
1.団体交渉権
適切ではありません。
団体交渉権は、労働者が労働組合を通じて使用者と労働条件などを交渉する権利で、憲法第28条が保障する労働基本権の一つです。生活保護による最低生活保障を直接示す権利ではありません。
2.平等権
適切ではありません。
平等権は、法の下の平等を定める憲法第14条に関係します。重要な権利ですが、生活困窮者の最低限度の生活を保障するこの事例の中心は生存権です。
3.財産権
適切ではありません。
財産権は、財産を所有し利用する権利で、憲法第29条が保障しています。Aさんが生活保護によって最低限度の生活を保障される根拠を最も直接示すものではありません。
4.思想の自由
適切ではありません。
思想及び良心の自由は、憲法第19条が保障する内心の自由です。Aさんの生活困窮と生活保護受給に直接対応する権利ではありません。
5.生存権
正答。最も適切です。
憲法第25条は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しています。生活保護制度は、この生存権の理念を具体化する制度です。
覚えるポイント
生存権は、日本国憲法第25条に定められています。
生活保護法は、生存権の理念に基づき、最低限度の生活の保障と自立の助長を目的とします。
団体交渉権は第28条、平等権は第14条、財産権は第29条、思想及び良心の自由は第19条です。
選択肢がすべて重要な権利でも、事例に最も直接関係するものを選びます。
生活困窮を本人の責任だけに帰さず、必要な制度利用を支援します。