7PM154|第7回 公認心理師国家試験 過去問
[7PM154] 9 歳の女児A、小学 3 年生。Aは、限局性学習症/限局性学習障害と診断され、通級による指導を受けている。通常の学級におけるAの授業中の読み書きの困難さとして、「黒板の字を写すのに時間がかかる」、「教科書を読んでも字や行をとばして読んでしまう」、「語や文章を不自然に区切って読むことがある」、「どこを読んでいるかを追いかけることが難しくなる」、「文字が枠からはみ出す」、「形態的に似ている文字の誤りが多い」などがある。手先の不器用さは目立たないが、書くことを避ける傾向にある。 教室において、Aが授業に参加できるようにする読み書きの支援として、適切なものを 2 つ選べ。
解答・解説を見る
正解: 3・5
正答
3、5
この問題のポイント
この問題では、限局性学習症/限局性学習障害のある児童に対する、教室での読み書きの合理的配慮・支援が問われています。
2つ選ぶ問題なので、Aの困難が「読みの追跡」「語や文のまとまり」「板書の写し」に関係していることを確認します。
解説
Aには、読み書きに関する複数の困難があります。
読む場面では、教科書を読んでも字や行をとばす、語や文章を不自然に区切って読む、どこを読んでいるか追いかけることが難しくなるといった困難があります。
この場合、単語や文のまとまりごとにスラッシュを入れることで、読むまとまりが分かりやすくなり、読みの負担を減らすことができます。
書く場面では、黒板の字を写すのに時間がかかる、文字が枠からはみ出す、形態的に似ている文字の誤りが多い、書くことを避ける傾向があるとされています。黒板と手元を何度も見比べる作業は、視線移動や記憶保持、文字認識、書字を同時に求めるため負担が大きくなります。
そのため、黒板に書く文章と同じものをプリントにして手元に置くことで、視線移動や記憶の負荷を軽減し、写し書きしやすくできます。
教育領域のポイント
限局性学習症の支援では、本人の努力不足と捉えず、読み書きのどの過程で負担が大きいかを分析します。授業参加を保障するため、教材提示や書字量を調整します。
選択肢の確認
1.利き手を確立するように働きかける。
判定:誤り。
Aには手先の不器用さは目立たないとされています。読みの飛ばし、行追跡の困難、板書の写しにくさが中心であり、利き手の確立を働きかける支援は適切ではありません。
2.メモを用いて発表する練習をさせる。
判定:誤り。
メモを使った発表練習は、発表や表現の支援として役立つ場合があります。しかし、本事例で中心となっているのは、読み書き、板書、行追跡、文字の形の誤りであり、発表練習は優先される支援ではありません。
3.単語や文のまとまりごとに、スラッシュを入れる。
判定:正しい。
Aは語や文章を不自然に区切って読むことがあり、どこを読んでいるか追いかけることも難しくなります。単語や文のまとまりごとにスラッシュを入れることで、読みのまとまりを把握しやすくなります。
4.教室の掲示物を整理して、視覚的に余計な刺激をなくす。
判定:誤り。
視覚刺激の整理は、注意の逸れや感覚過敏がある児童には有用な場合があります。しかし、本事例で示されている主な困難は、読みの追跡や板書の写しにくさです。最も直接的な読み書き支援としては選びません。
5.黒板に書く文章と同じものをプリントにし、手元に置いて写し書きをさせる。
判定:正しい。
黒板の字を写すのに時間がかかるAにとって、手元に同じ文章があると、視線移動や記憶保持の負担を減らせます。授業参加を支える具体的な書字支援として適切です。
覚えるポイント
- 読みの困難には、語や文のまとまりを視覚的に示す支援が有効です。
- 板書の写しが難しい場合は、手元資料を用意して負担を軽減します。
- 限局性学習症の支援では、本人の努力不足ではなく、読み書きの認知的負荷を調整します。