8PM147第8回 公認心理師国家試験 過去問

心理療法・心理支援-19 SEL・学級の社会情動的支援

25歳の女性A、小学2年生の担任教師。Aは、スクールカウンセラーBに学級の状況とその対応について相談した。Aによると、Aの学級では、児童がお互いに話を聴くのが苦手で、自分の意見ばかり主張する傾向があり、他の児童を思いやる気持ちやお互いをサポートする気持ちがあまりみられない。また、協力して課題を解決していく雰囲気や自他を尊重する姿が学級全体として乏しい。BがAの学級の様子を観察したところ、授業中だけではなく、掃除の時間や給食の準備などでも同様の状況がみられていた。 ``` BのAへの提案として、最も適切なものを1つ選べ。

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正解: 5


## 正答

5

## この問題のポイント

この問題では、学級全体にみられる対人関係、協力、思いやり、自他尊重の課題に対して、**ソーシャル・エモーショナル・ラーニング〈SEL〉**を提案できるかが問われています。

事例のキーワードは、「話を聴くのが苦手」「自分の意見ばかり主張」「思いやりやサポートが乏しい」「協力して課題を解決する雰囲気が乏しい」です。

## 解説

**ソーシャル・エモーショナル・ラーニング〈SEL〉**は、自己理解、感情の理解と調整、他者理解、対人関係スキル、責任ある意思決定などを育てる教育的取組です。

本事例では、特定の児童だけの問題ではなく、学級全体として、互いの話を聴く、相手を思いやる、協力する、自他を尊重する姿勢が乏しいことが示されています。しかも、その状況は授業中だけでなく、掃除や給食準備など学校生活全体でみられています。

そのため、個別の児童への支援や座席・教室環境の調整だけでなく、学級集団全体に対して、感情理解、聞く力、協力、共感、自己主張と他者尊重を育てるSELの実施が最も適切です。

スクールカウンセラーBは、担任Aと協働し、発達段階に合った活動を通して、児童が気持ちを言葉にする、相手の気持ちを考える、順番に話す、協力して解決するなどの経験を積めるよう支援することが考えられます。

> 教育領域のポイント
> 学級全体の対人関係や感情面の力を育てる場合は、SELが有効です。個別支援だけでなく、集団への予防的・発達支持的支援として考えます。

## 選択肢の確認

1.TEACCH の実施
判定:適切とはいえない。
TEACCHは、自閉スペクトラム症のある人に対して、構造化や視覚的支援を用いる支援プログラムです。本事例では特定児童のASD支援ではなく、学級全体の社会性や情動面の育成が課題です。

2.ソシオグラムの作成
判定:適切とはいえない。
ソシオグラムは、学級内の人間関係や選好関係を把握する方法です。実態把握には役立ちますが、学級全体の思いやり、協力、自他尊重を育てる直接的な提案としてはSELが最も適切です。

3.チームティーチングの導入
判定:適切とはいえない。
チームティーチングは、複数の教師が協力して授業を行う方法です。授業支援や個別対応には役立つ場合がありますが、本事例の中心である社会性・情動面の学習にはSELが適切です。

4.教室のユニバーサルデザイン化
判定:適切とはいえない。
教室のユニバーサルデザイン化は、誰にとっても分かりやすく参加しやすい環境を整える取組です。ただし、本事例で中心となる課題は、聞く力、協力、思いやり、自他尊重の不足であり、SELがより適切です。

5.ソーシャル・エモーショナル・ラーニングの実施
判定:最も適切。
SELは、自己理解、感情調整、他者理解、対人関係スキル、責任ある意思決定を育てる取組です。学級全体にみられる対人関係や協力の課題に対して最も適切です。

## 覚えるポイント

* **SEL**は、社会性と情動面の力を育てる教育的取組です。
* 学級全体の「聴く」「協力する」「思いやる」「尊重する」力を育てるときに有効です。
* ソシオグラムは関係性の把握、TEACCHはASD支援、ユニバーサルデザインは環境調整として区別します。

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