8PM146|第8回 公認心理師国家試験 過去問
心理学基礎-04 記憶:抑制・スキーマ・フラッシュバルブ
25歳の男性A、小学6年生の担任教師。Aは、スクールカウンセラーBに、クラスの児童Cの授業中の様子に心配な点があり、その対応について相談した。そこで、BはAの授業を観察したところ、Cは黒板に書かれた内容をノートに写しながら、同時にAの説明や指示をうまく聞き取れず、何を行ったらよいか戸惑っている様子がときどきみられた。BはCが過去に受けていた心理検査の結果も踏まえて、Aに次のような助言を行った。「いくつかのことを同時に作業させない」、「大切な情報は口頭だけではなく、文字や図で示す」、「Cの注意を向けさせてから短い言葉で簡潔に指示を出す」などである。 ``` Bの見立てたCの課題の背景にある概念として、最も適切なものを1つ選べ。
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正解: 5
## 正答
5
## この問題のポイント
この問題では、複数の情報を一時的に保持しながら処理する**ワーキングメモリ**の困難を、授業場面から理解することが問われています。
事例のキーワードは、「黒板を写しながら同時に説明を聞き取れない」「いくつかのことを同時に作業させない」「短い言葉で簡潔に指示」です。
## 解説
**ワーキングメモリ**とは、必要な情報を一時的に保持しながら、同時に処理する認知機能です。
Cは、黒板に書かれた内容をノートに写しながら、同時に担任教師Aの説明や指示を聞き取ることが難しく、何をすればよいか戸惑っています。これは、視覚情報を書き写す作業と、聴覚情報を理解し保持する作業を同時に行う負荷が高くなっている状態です。
スクールカウンセラーBは、「いくつかのことを同時に作業させない」「大切な情報は口頭だけではなく、文字や図で示す」「注意を向けさせてから短い言葉で簡潔に指示を出す」と助言しています。これらは、ワーキングメモリへの負荷を減らす支援です。
授業支援では、板書を写す時間と説明を聞く時間を分ける、指示を短くする、視覚的手がかりを使う、手順を一つずつ示す、確認の時間を設けるなどが有効です。
> 教育領域のポイント
> ワーキングメモリに困難がある子どもは、「聞きながら書く」「覚えながら考える」「複数の指示を一度に処理する」ことが苦手になりやすいです。
## 選択肢の確認
1.動機づけ
判定:適切とはいえない。
動機づけは、行動を始め、持続させ、方向づける心理的要因です。Cの困難は、やる気の問題ではなく、同時処理や情報保持の負荷に関係しています。
2.メタ認知
判定:適切とはいえない。
メタ認知は、自分の理解や行動を客観的に把握し、調整する力です。学習支援では重要ですが、本事例の中心は、同時に聞く・書くことの難しさであり、ワーキングメモリが最も適切です。
3.自己効力感
判定:適切とはいえない。
自己効力感は、自分はうまくできるという見通しや自信を指します。Cの戸惑いは自己効力感の低さだけではなく、情報処理の負荷に関係しています。
4.コヒアランス
判定:適切とはいえない。
コヒアランスは、まとまりや一貫性を意味する概念として用いられます。ASDの中枢性統合の文脈などで出題されることがありますが、本事例の同時処理の困難を説明する概念としてはワーキングメモリが適切です。
5.ワーキングメモリ
判定:最も適切。
黒板を写しながら説明を聞く、複数の指示を保持して行動するなどにはワーキングメモリが関わります。Bの助言もワーキングメモリ負荷を下げる支援であり、最も適切です。
## 覚えるポイント
* **ワーキングメモリ**は、情報を一時的に保持しながら処理する力です。
* 「聞きながら書く」「複数の指示を覚える」「同時に作業する」場面で負荷が高くなります。
* 支援では、指示を短くする、視覚化する、一度に一つずつ示す、作業を分けることが有効です。