8PM151|第8回 公認心理師国家試験 過去問
精神疾患とその治療-05 トラウマ・ストレス関連症
32歳の女性A、入職1年目の介護職員。Aは、不眠と気分の落ち込みを訴え、精神科の外来を受診した。Aによると、2か月前、通所者Bの送迎車を運転中、追突事故に巻き込まれた。Aは軽い頸椎捻挫で済んだが、同乗していたBは、骨盤骨折などの重傷を負い、現在も入院中である。Aは事故後も勤務を続けているが、当時のことがふと思い出されたり、突然動悸がしたりする。Bの怪我の原因は全て自分にあると感じ、自責の念が強い。事故の悪夢に悩まされることもある。以前は、仕事が楽しかったが、事故以来、送迎車の運転に恐怖を感じ、仕事を辞めたいという。 ``` Aの治療に有効と考えられる、構造化された心理療法に該当するものを2つ選べ。
2つ選択
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正解: 3・4
## 正答
3、4
## この問題のポイント
この問題では、交通事故後に侵入症状、悪夢、動悸、強い自責感、回避がみられる事例に対して、トラウマ関連症状に有効な構造化された心理療法を選ぶことが問われています。
事例のキーワードは、「追突事故」「当時のことがふと思い出される」「悪夢」「突然動悸」「送迎車の運転に恐怖」です。
## 解説
Aは通所者Bの送迎中に追突事故に巻き込まれ、自分は軽症でしたが、同乗していたBが重傷を負っています。その後、事故の記憶がふと思い出される、突然動悸がする、悪夢を見る、強い自責感を抱く、送迎車の運転に恐怖を感じるなど、外傷後ストレス症状がみられます。
このようなトラウマ関連症状に対する構造化された心理療法として、**持続エクスポージャー法〈PE〉**と**眼球運動による脱感作と再処理法〈EMDR〉**が有効と考えられます。
PEでは、トラウマ記憶や避けている状況に安全な枠組みの中で段階的に向き合い、回避を減らし、記憶の処理を進めます。
EMDRでは、トラウマ記憶に注意を向けながら、眼球運動などの両側性刺激を用いて、記憶の再処理を促します。
一方、CISDは事故直後などに集団で体験を語らせる方法として知られますが、トラウマ治療として一律に実施することは推奨されにくく、本問の「有効と考えられる構造化された心理療法」としてはPEとEMDRが適切です。
> トラウマケアのポイント
> トラウマ支援では、まず安全確保と安定化が重要です。そのうえで、適応がある場合にPEやEMDRなど構造化された治療を検討します。
## 選択肢の確認
1.応用行動分析〈ABA〉
判定:誤り。
ABAは、行動の機能を分析し、環境調整や強化を用いて行動変容を図る方法です。発達支援や行動支援で重要ですが、事故後の外傷性ストレス症状への構造化された心理療法としてはPEとEMDRが適切です。
2.問題解決療法〈PST〉
判定:誤り。
PSTは、生活上の問題を整理し、具体的な解決策を検討する心理療法です。ストレス対処には役立つ場合がありますが、トラウマ記憶の侵入や回避に対する代表的な構造化治療としてはPEとEMDRが適切です。
3.持続エクスポージャー法〈PE〉
判定:正しい。
PEは、トラウマ記憶や回避している状況に段階的に向き合い、外傷後ストレス症状の改善を図る構造化された心理療法です。Aの治療に有効と考えられます。
4.眼球運動による脱感作と再処理法〈EMDR〉
判定:正しい。
EMDRは、トラウマ記憶の再処理を促す構造化された心理療法です。外傷後ストレス症状への治療として有効と考えられます。
5.緊急事態ストレス・デブリーフィング〈CISD〉
判定:誤り。
CISDは、危機後に体験を語る集団介入として知られますが、トラウマ治療として一律に行うことは推奨されにくいです。本事例の治療に有効な構造化心理療法としてはPEとEMDRが適切です。
## 覚えるポイント
* トラウマ関連症状への構造化治療として、**PE**と**EMDR**を押さえます。
* PEは、トラウマ記憶や回避状況への段階的曝露を行います。
* EMDRは、眼球運動などを用いてトラウマ記憶の再処理を促します。