8PM150第8回 公認心理師国家試験 過去問

心理学基礎-13 偏見・スティグマ・差別・集団

総合病院、A病院。4人の心理職が心理室に勤務している。このうち女性2名が昨年末に相次いで産休取得の手続を行い、うち1名は退職の可能性を示唆している。新年度から人手不足が見込まれることから、代替の非常勤職員の募集に加えて、正規職員採用人事も立ち上げることになった。正規職員の採用について、心理室メンバーと人事部で相談したところ、「正規職員は、長期の継続勤務が見込まれる男性を積極的に採用してはどうか」という意見が出された。 ``` この意見にみられる問題を表す用語として、最も適切なものを1つ選べ。

解答・解説を見る

正解: 2


## 正答

2

## この問題のポイント

この問題では、個人の能力や意向を見ずに、性別などの集団属性に基づく一般化で採用判断をしようとする**統計的差別**が問われています。

事例のキーワードは、「女性2名が産休」「長期勤務が見込まれる男性を積極的に採用」です。

## 解説

**統計的差別**とは、個人そのものの能力、意欲、事情を十分に評価せず、所属する集団についての平均的・統計的なイメージをもとに判断する差別です。

本事例では、女性職員2名が産休取得の手続を行い、うち1名が退職の可能性を示唆しています。その経験から、「正規職員は、長期の継続勤務が見込まれる男性を積極的に採用してはどうか」という意見が出ています。

これは、男性なら長期勤務しやすい、女性は産休や退職の可能性があるという集団に関する一般化に基づいて採用方針を決めようとするものです。個々の応募者の能力、希望、キャリア意向、勤務条件を見ていないため、統計的差別として理解できます。

また、性別を理由に採用上の有利・不利を設けることは、男女雇用機会均等の観点からも問題になります。人手不足への対応は、性別で選別するのではなく、職場環境整備、代替要員確保、育児休業取得者への支援、業務分担の見直しとして検討すべきです。

> 産業・労働領域のポイント
> 採用や配置では、性別、年齢、家族状況などの集団属性で個人を判断しないことが重要です。制度上の公平性と合理的な職場環境整備を分けて考えます。

## 選択肢の確認

1.損失回避性
判定:適切とはいえない。
損失回避性は、同じ大きさの利得よりも損失を強く避けようとする傾向です。本事例では、性別という集団属性に基づく採用判断が問題であり、統計的差別が適切です。

2.統計的差別
判定:最も適切。
女性職員の産休や退職可能性をもとに、男性の方が長期勤務を見込めると一般化して採用しようとしています。個人ではなく集団属性に基づく判断であり、統計的差別です。

3.論理的誤差
判定:適切とはいえない。
論理的誤差は、評価者が論理的に関連があると思い込んだ特性をまとめて評価してしまう評定誤差です。本事例の性別に基づく採用上の差別を表す用語としては統計的差別が適切です。

4.行為者-観察者バイアス
判定:適切とはいえない。
行為者-観察者バイアスは、自分の行動は状況要因に、他者の行動は性格など内的要因に帰属しやすい傾向です。本事例の採用判断とは異なります。

5.ポジティブ・アクション
判定:適切とはいえない。
ポジティブ・アクションは、過去や現状の格差を是正するために、機会の確保や能力発揮を促す積極的改善措置です。本事例の男性を優先する意見は、性別による差別的判断であり、ポジティブ・アクションではありません。

## 覚えるポイント

* **統計的差別**は、個人ではなく集団属性に基づいて判断する差別です。
* 採用では、性別や家族状況ではなく、個人の能力、適性、希望、条件を評価します。
* 人手不足対策は、性別選別ではなく、職場環境整備と業務体制の見直しで考えます。

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