9PM136|第9回 公認心理師国家試験 過去問
ある研究で自尊心について測定しようと考えた。「自己」「他者」という 2 つの概念と、「良い」「悪い」という 2 つの属性を取り上げ、コンピュータ画面の上側左に「自己または良い」、上側右に「他者または悪い」と呈示した。参加者には、画面中央に呈示された刺激語が、「自己」または「良い」に当てはまるなら左のキーを、「他者」または「悪い」に当てはまるなら右のキーをできるだけ速く押すことを求めた。さらに、「自己」または「悪い」、「他者」または「良い」でも同様の反応を求めた。これらの課題の反応時間の差を分析した。 この手法の名称として、正しいものを 1 つ選べ。
解答・解説を見る
正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この問題では、自尊心などの潜在的態度を測定する方法が問われています。
「自己」と「良い」、「他者」と「悪い」のように、概念と属性の組合せに対する反応時間の差を分析する手法は、潜在連合テストです。
解説
潜在連合テストは、Implicit Association Test の訳で、IAT とも呼ばれます。人が意識的に答える質問紙では捉えにくい、潜在的な態度や連合の強さを、反応時間を使って測定します。
この問題では、「自己」「他者」という概念と、「良い」「悪い」という属性を組み合わせています。参加者は、画面中央に出る刺激語を、できるだけ速く分類します。
たとえば、「自己または良い」と「他者または悪い」の組合せで反応しやすく、「自己または悪い」と「他者または良い」の組合せで反応が遅くなる場合、自己と良い属性の連合が相対的に強いと解釈できます。これは自尊心の潜在的側面を測定する考え方です。
一方、SD法は意味空間を評定する方法、リッカート法は態度を段階評定で測定する方法、マグニチュード推定法は感覚の大きさを数値で評価する方法、リーディングスパンテストはワーキングメモリを測定する課題です。
ひっかけポイント
「反応時間」「概念と属性の組合せ」「潜在的態度」が出たら、潜在連合テストを考えます。質問紙の評定法とは区別します。
選択肢の確認
1.SD 法
判定:誤り。
SD法は、対象に対する印象や意味を、対になった形容詞尺度で評定する方法です。たとえば、明るい、暗い、強い、弱いなどの評定を用います。反応時間の差から潜在的連合を測定する方法ではありません。
2.リッカート法
判定:誤り。
リッカート法は、ある意見や態度に対して、どの程度同意するかを段階的に評定する方法です。質問紙法でよく用いられますが、反応時間を分析する手法ではありません。
3.潜在連合テスト
判定:正しい。
潜在連合テストは、概念と属性の組合せに対する分類反応の速さを比較し、潜在的な連合の強さを測定する方法です。問題文の「自己」「他者」と「良い」「悪い」の組合せ、反応時間の差の分析という内容に合っています。
4.マグニチュード推定法
判定:誤り。
マグニチュード推定法は、感覚の強さを数値で直接評価する心理物理学的手法です。刺激の強度に対する主観的な大きさを測る方法であり、潜在的態度の反応時間課題ではありません。
5.リーディングスパンテスト
判定:誤り。
リーディングスパンテストは、文を読みながら語を保持するなど、ワーキングメモリの容量を測定する課題です。自尊心の潜在的連合を測定する手法ではありません。
覚えるポイント
- 潜在連合テストは、概念と属性の連合の強さを反応時間で測定します。
- IAT は、潜在的態度、偏見、自尊心などの研究で用いられます。
- SD法は、形容詞対を用いて印象や意味を評定します。
- リッカート法は、同意の程度を段階評定する質問紙法です。
- リーディングスパンテストは、ワーキングメモリの測定課題です。