9PM86|第9回 公認心理師国家試験 過去問
H. P. Grice の会話の協調の原理〈cooperative principle〉に関係が深いアプローチとして、最も適切なものを 1 つ選べ。
解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、H. P. Grice の会話の協調の原理が、言語学のどの領域に関係するかが問われています。
会話の文脈、話し手の意図、聞き手の解釈、含意に関わるため、正答は語用論です。
解説
語用論は、言葉が実際の場面や文脈の中でどのように使われ、どのように解釈されるかを扱う領域です。
H. P. Grice は、会話において人々は互いに協力しながら意味を伝え合っていると考え、会話の協調の原理を提唱しました。そこでは、量、質、関係、様態といった会話の公理が示されます。
例えば、相手が「この店、混んでるね」と言ったとき、単に混雑状況を述べているだけでなく、「別の店に行こう」という含意がある場合があります。このような言外の意味や文脈に応じた解釈は、語用論のテーマです。
認知・言語でのポイント
語用論は、言葉の辞書的意味だけでなく、文脈、意図、会話の流れ、暗黙の意味を扱います。
公認心理師の実践でも、クライエントの発言は文字どおりの意味だけでなく、背景、関係性、場面、感情を含めて理解することが大切です。
選択肢の確認
1.意味論
判定:誤り。
意味論は、語や文そのものの意味を扱う領域です。語の意味や文の意味を考える点で重要ですが、Grice の会話の協調の原理のように、文脈や話し手の意図を扱う領域としては語用論が適切です。
2.音韻論
判定:誤り。
音韻論は、言語における音の体系や機能を扱います。音素や音韻規則に関係しますが、会話の協調の原理とは直接関係しません。
3.形態論
判定:誤り。
形態論は、語の内部構造や語形成を扱う領域です。接辞、語幹、活用などに関係します。会話における文脈や含意を扱う語用論とは異なります。
4.語用論
判定:最も適切。
語用論は、言葉が文脈の中でどのように使われ、解釈されるかを扱います。Grice の会話の協調の原理は、会話の含意や話し手の意図に関わるため、語用論と関係が深いです。
5.統語論
判定:誤り。
統語論は、語がどのように組み合わさって文を作るかを扱う領域です。文法構造に関係しますが、会話の協調の原理や文脈上の含意を扱う領域ではありません。
覚えるポイント
- Grice の会話の協調の原理は、語用論と関係します。
- 語用論は、文脈、意図、含意、会話の使われ方を扱います。
- 意味論は語や文そのものの意味を扱います。
- 音韻論は音、形態論は語の構造、統語論は文の構造を扱います。