39AM83|第39回 臨床工学技士国家試験 過去問
図は上腕での動脈圧波形である。末梢側にいくと生じる変化で正しいのはどれか。

解答・解説を見る
正解: 4
正答
4
この問題のポイント
この問題では、動脈圧波形が中枢側から末梢側へ伝わるときの変化が問われています。
上腕動脈から橈骨動脈などの末梢側へいくと、一般に次のような変化がみられます。
- 収縮期圧が高くなる
- 脈圧が大きくなる
- 波形の立ち上がりが急峻になる
- 平均圧は大きく変わらない、または末梢に向かってわずかに低下する
- 切痕は目立ちにくくなることがある
図の②は収縮期圧のピークを示します。
末梢側ではこの②の値が増大するため、正しいのは4です。
解説
動脈圧波形は、心臓から駆出された血液によって生じた圧波が、動脈内を末梢へ伝わることで観察されます。
末梢側へいくと、血管の分岐、血管径の変化、血管壁の硬さ、末梢血管抵抗、反射波などの影響を受けます。
その結果、中心動脈に比べて末梢動脈では、収縮期圧のピークが高くなりやすくなります。これを脈波の増幅として整理します。
図で見るポイント
①は拡張期圧付近の低い部分です。②は収縮期圧のピークです。
③は大動脈弁閉鎖などに関連する切痕、いわゆる重複切痕に相当する部分です。
④は次の拍動に移る前の拡張期末期に近い部分です。
末梢側へいくと、反射波の影響などにより収縮期のピークが増強されます。
そのため、図の②で示される値は増大します。
一方で、波形全体が単純に下へ移動するわけではありません。収縮期圧は増大し、拡張期圧は低下傾向を示すことがあり、脈圧が大きくなります。
また、心拍周期そのものが末梢へ行くことで長くなるわけではありません。波形の到達は遅れますが、①から④までの1拍の時間が長くなると考えるのは不適切です。
ひっかけポイント
「末梢に行くほど圧が落ちる」と単純に考えると誤りです。平均圧は末梢に向かって低下し得ますが、収縮期圧のピークは末梢側で高くなることがあります。
生体計測での注意点
観血式血圧測定では、測定部位によって波形や収縮期圧が変わります。橈骨動脈など末梢動脈の圧波形を読むときは、測定部位、トランスデューサの高さ、ゼロ点調整、回路内気泡、カテーテルの閉塞や過減衰も確認します。
選択肢の確認
1.誤り。
末梢側へいくと、①から②への立ち上がりは緩やかになるのではなく、むしろ急峻になりやすいです。末梢動脈では波形が鋭くなり、収縮期ピークが高くなる傾向があります。
2.誤り。
末梢側へいくと、波形全体が単純に下方へシフトするわけではありません。平均圧は末梢に向かってわずかに低下することがありますが、収縮期圧は増大し、脈圧は大きくなりやすいです。
3.誤り。
末梢側では圧波の到達が遅れますが、①から④までの1拍の時間が長くなるわけではありません。1拍の時間は心拍数によって決まるため、末梢側へ行くこと自体で波形全体の時間幅が長くなるとはいえません。
4.正しい。
②は収縮期圧のピークを示します。末梢側へいくと、反射波や血管特性の影響で収縮期圧が増大しやすくなります。したがって、②での値が増大するという記述は正しいです。
5.誤り。
③は切痕に相当する部分です。末梢側では切痕が深くなるというより、反射波や波形変化の影響で目立ちにくくなることがあります。末梢側で正しく押さえるべき変化は、収縮期圧ピークの増大です。
覚えるポイント
- 動脈圧波形は、末梢側へいくと収縮期圧が増大しやすい。
- 末梢側では、一般に脈圧が大きくなる。
- 波形の立ち上がりは、末梢側で急峻になりやすい。
- 平均圧は末梢側へ向かって大きく上昇するわけではなく、わずかに低下することがある。
- 図の②は収縮期圧ピークであり、末梢側で増大する。
- 観血式血圧測定では、測定部位による波形差を考慮して評価する。