113B058|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

上顎右側切歯部唇側歯肉の腫脹を主訴として来院した患者の初診時の口腔内写真(別冊No. 13A)、エックス線画像(別冊No. 13B)及び摘出時のH-E染色病理組織像(別冊No. 13C)を別に示す。 診断名はどれか。1つ選べ。

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正解: a

正答

a

この問題のポイント

根管治療歯の根尖部に連続する顎骨内病変で、囊胞腔を非角化性重層扁平上皮が裏装し、慢性炎症とコレステリン裂隙を伴っています。典型的な歯根囊胞です。

解説

歯根囊胞は、失活歯の根尖性歯周炎を背景に、歯根膜に残るMalassezの上皮遺残が炎症刺激で増殖して形成される炎症性歯原性囊胞です。通常は原因歯根尖を中心とする境界明瞭な単房性透過像を示します。

病理組織では非角化性重層扁平上皮に裏装された囊胞腔と、炎症細胞を含む線維性囊胞壁を認めます。陳旧例ではコレステリン結晶が標本作製時に溶けた針状の裂隙と、それに対する異物反応がみられます。

画像の確認

実画像Aでは上顎右側切歯部の唇側歯肉に限局した腫脹があり、画像Bでは根管充塡歯の根尖付近に透過性病変がみられます。実画像Cでは囊胞腔を裏装する上皮、炎症性囊胞壁、針状のコレステリン裂隙が確認でき、炎症性の歯根囊胞に一致します。

選択肢の確認

a.歯根囊胞
正しい。失活歯根尖の炎症を背景に生じ、非角化性上皮裏装と炎症性囊胞壁を示します。

b.鼻歯槽囊胞
誤り。鼻翼基部の軟組織に生じる非歯原性囊胞で、歯根尖を中心とする骨内病変ではありません。

c.脈瘤性骨囊胞
誤り。血液を満たす腔と巨細胞を伴う骨病変で、上皮裏装をもちません。

d.歯原性角化囊胞〈角化囊胞性歯原性腫瘍〉
誤り。薄い錯角化上皮と柵状に並ぶ基底細胞が特徴で、炎症性歯根囊胞像とは異なります。

e.石灰化歯原性囊胞〈石灰化囊胞性歯原性腫瘍〉
誤り。ghost細胞や石灰化物を特徴とします。

覚えるポイント

  • 失活歯根尖+透過像+炎症性上皮性囊胞=歯根囊胞です。
  • コレステリン裂隙は陳旧性炎症性囊胞でみられます。
  • 病変と歯髄生活性・根尖との位置関係を必ず確認します。

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