113B057|第113回 歯科医師国家試験 過去問
28歳の女性。下顎左側小臼歯部のブラッシング時の痛みを主訴として来院した。1年前から自覚していたがそのままにしていたという。歯周基本治療後の再評価時のプロービング深さはすべて3 mm以下であったが、症状が改善されなかったため、歯周外科治療を行うこととした。初診時の口腔内写真(別冊No. 12A)と術中の口腔内写真(別冊No. 12B)を別に示す。 この手術の目的はどれか。2つ選べ。

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正解: c・d
正答
c、d
この問題のポイント
歯周ポケットは3 mm以下でも、頬側歯肉退縮による露出根面と角化歯肉不足が痛みの原因です。写真の移植手術は根面被覆と角化歯肉幅の増大を目的とします。
解説
露出根面は象牙質知覚過敏、根面齲蝕、審美障害を生じ、角化歯肉が乏しいとブラッシング時の疼痛や清掃困難が続くことがあります。歯周基本治療後に炎症とポケットが改善しても症状が残る場合、歯肉歯槽粘膜形成術によって根面を被覆し、丈夫な角化組織を増やします。
本例の術野は歯周ポケット除去や骨欠損の再生を目的とする形態ではありません。受容床と移植片の血行を確保し、移植片を安定させることが治癒に重要です。
画像の確認
実画像Aでは、下顎左側小臼歯部の頬側歯肉が根尖側へ退縮し、歯根面が露出して角化歯肉幅も狭くなっています。実画像Bでは同部に切開・受容床形成と移植片を固定する縫合が行われており、粘膜歯肉部の組織量を増やして根面を覆う手術と読み取れます。
選択肢の確認
a.歯槽骨の再生
誤り。骨内欠損へ再生材料を用いる手術ではなく、軟組織の増大・根面被覆が目的です。
b.新付着の獲得
誤り。深い歯周ポケットや垂直性骨欠損に対する歯周組織再生療法ではありません。
c.角化歯肉幅の増大
正しい。移植によって清掃に耐えやすい角化組織を増やします。
d.露出歯根面の被覆
正しい。歯肉退縮部を被覆し、知覚過敏や清掃時疼痛の改善を図ります。
e.歯周ポケットの除去
誤り。再評価時のプロービング深さは全て3 mm以下で、ポケット除去を必要とする所見ではありません。
覚えるポイント
- 歯肉退縮+角化歯肉不足→根面被覆と角化歯肉増大を考えます。
- 浅いプロービング深さでも粘膜歯肉の問題は残り得ます。
- 手術目的は画像の硬組織か軟組織かを見分けて判断します。
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