113D057|第113回 歯科医師国家試験 過去問
71歳の男性。口蓋部の腫脹を主訴として来院した。半年前に自覚したが、痛みがないためそのままにしていたという。左側口蓋部に弾性硬の腫脹を認める。初診時の口腔内写真(別冊No. 12A)、CT(別冊No. 12B)、MRI(別冊No. 12C)及び生検時のH-E染色病理組織像(別冊No. 12D)を別に示す。 適切な対応はどれか。1つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
無痛性で緩徐に増大する口蓋の境界明瞭な腫瘤と、導管様構造・粘液腫様ないし軟骨様間質を示す病理像から、口蓋小唾液腺由来の多形腺腫を考えます。治療は外科的切除です。
解説
多形腺腫は最も代表的な良性唾液腺腫瘍で、腺上皮・筋上皮性細胞と粘液腫様、軟骨様、硝子様など多彩な間質を示します。小唾液腺では口蓋が好発部位です。通常は無痛性、弾性硬、緩徐発育の腫瘤として現れます。
画像上は比較的境界明瞭でも、被膜が不完全で顕微鏡的な突起や娘結節をもつことがあります。このため単純な核出ではなく、周囲健常組織を含めて腫瘍を損傷せず外科的に切除します。長期放置や再発例では悪性転化の可能性もあるため、経過観察だけにはしません。
画像の確認
実画像では、Aで左側硬口蓋後方に表面粘膜の潰瘍を伴わない半球状の腫脹がみられます。B・Cでは口蓋側に境界比較的明瞭な充実性腫瘤があり、造影像とMRIで内部性状と周囲への広がりが示されています。Dでは多数の導管様構造と粘液腫様・軟骨様の淡い間質が混在する多彩な組織像です。
選択肢の確認
a.経過観察
誤り。
増大する唾液腺腫瘍であり、確定診断後は再発・悪性転化を避けるため切除します。
b.切開排膿
誤り。
無痛性充実性腫瘤で、膿瘍を示す急性炎症所見はありません。
c.開窓
誤り。
囊胞性病変の内圧を減らす術式であり、充実性唾液腺腫瘍には適しません。
d.放射線療法
誤り。
良性多形腺腫の第一選択ではなく、完全切除を目指します。
e.外科的切除
正しい。
腫瘍被膜を破らず、顕微鏡的進展を考慮して周囲組織を含め切除します。
覚えるポイント
- 口蓋の無痛性腫瘤+多彩な上皮・間質=多形腺腫です。
- 多形腺腫は単純核出ではなく、周囲組織を含む切除を行います。
- 被膜損傷と腫瘍播種は再発リスクを高めます。
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