113D088|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

75歳の男性。右側頰部の腫脹を主訴として来院した。3か月前に自覚したが、痛みがないためそのままにしていたという。耳鼻咽喉科で外科的治療の既往がある。右側眼窩下部から頰部にかけて無痛性の腫脹を認める。初診時のエックス線画像(別冊No. 35A)とCT(別冊No. 35B)を別に示す。 最も考えられるのはどれか。1つ選べ。

113D088の問題画像
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正解: e

正答

e

この問題のポイント

上顎洞手術の既往から長期間を経て、同側の上顎洞部に無痛性・膨張性の囊胞性病変が生じています。典型的な術後性上顎囊胞です。

解説

術後性上顎囊胞は、上顎洞根治術などの際に洞粘膜が骨内へ取り残され、長い年月をかけて分泌物が貯留・膨張して生じる囊胞です。手術から数十年後に、頰部腫脹、疼痛、違和感、眼球突出、鼻症状などで発見されることがあります。本例は75歳で耳鼻咽喉科手術の既往があり、右眼窩下部から頰部へ無痛性腫脹を認めるという時系列・部位が典型的です。

画像では右上顎洞を中心とする境界明瞭な軟組織濃度病変が周囲骨を圧排し、洞壁を菲薄化・膨隆させています。悪性腫瘍に多い不整な浸潤性骨破壊とは異なります。骨腫は高濃度の骨性病変、脂肪腫は脂肪濃度、真菌性上顎洞炎は洞内石灰化や高吸収物を伴う炎症像が手掛かりで、本例の術後性・膨張性囊胞像を説明しません。

画像の確認

実画像では、パノラマエックス線画像で患者右上顎洞部に広い不透過性変化があり、CTでは右上顎洞から頰部・眼窩下部側へ広がる境界明瞭な内容均一の病変がみられます。骨条件CTでは右上顎洞壁が圧排されて菲薄化・膨隆している一方、悪性腫瘍を示唆する不規則な虫食い状破壊は目立ちません。

選択肢の確認

a.骨腫
誤り。
骨腫なら骨と同程度の高吸収性を示す充実性病変となり、本例の囊胞性軟組織像とは異なります。

b.骨肉腫
誤り。
骨形成性腫瘍として不整な骨破壊や腫瘍性骨形成を示しますが、本例は境界明瞭な膨張性病変です。

c.脂肪腫
誤り。
CTで脂肪濃度を示す軟部腫瘍であり、上顎洞手術後の洞内膨張性病変を説明しません。

d.扁平上皮癌
誤り。
上顎洞癌では不整な浸潤性骨破壊を来しやすく、本例の平滑な圧排・菲薄化とは異なります。

e.術後性上顎嚢胞
正しい。
上顎洞手術後長期間を経た同側頰部腫脹と、洞を中心とする膨張性囊胞像が一致します。

f.真菌性上顎洞炎
誤り。
洞内の不均一な高吸収物や石灰化を伴う炎症像が典型で、本例の巨大な膨張性囊胞像ではありません。

g.線維性異形成症
誤り。
すりガラス状の骨性濃度と骨のびまん性膨隆を示し、内容均一な上顎洞囊胞とは異なります。

覚えるポイント

  • 術後性上顎囊胞は上顎洞手術から数十年後に発症し得ます。
  • 病変は膨張性に洞壁を圧排・菲薄化させ、頰部や眼窩下部を腫脹させます。
  • 手術歴、発症側、CTでの境界と骨変化を統合して診断します。

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