114A030|第114回 歯科医師国家試験 過去問
30歳の男性。下顎の腫脹を主訴として来院した。3年前から自覚していたが無痛性のためそのままにしていたところ、徐々に増大してきたという。初診時のエックス線画像(別冊No. 10A)、MRI T2強調像(別冊No. 10B)及び生検時のH-E染色病理組織像(別冊No. 10C)を別に示す。 診断名はどれか。1つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
緩徐に増大する下顎の多房性透過像と、歯原性上皮胞巣の病理像からエナメル上皮腫を診断します。
解説
エナメル上皮腫は歯原性上皮由来の局所侵襲性腫瘍で、若年〜中年成人の下顎臼歯部・下顎枝部に好発します。無痛性に緩徐増大し、顎骨膨隆、歯の移動、歯根吸収を来すことがあります。画像では単房性または多房性の透過像を示し、大きな病変では石けん泡状・蜂巣状にみえます。
病理組織では、歯原性上皮の胞巣周辺に円柱状細胞の柵状配列があり、内部にエナメル器の星状網に似た細胞がみられます。症例の経過、顎骨内画像、病理像がこの特徴で一致します。
画像の確認
実画像では、パノラマ像に下顎前歯部から片側臼歯部に及ぶ広い多房性透過像と著明な骨膨隆がみられ、MRI T2強調像では分葉状で内部不均一な病変として描出されています。H-E像では線維性間質内に多数の歯原性上皮胞巣があり、周辺細胞の柵状配列と中心部の星状網様構造を確認できます。
選択肢の確認
a.粘表皮癌
誤り。
粘液産生細胞、中間細胞、類表皮細胞からなる唾液腺癌で、本病理像とは異なります。
b.歯原性粘液腫
誤り。
粘液状間質に星状・紡錘形細胞を認める間葉系腫瘍で、上皮胞巣の柵状配列を主体としません。
c.エナメル上皮腫
正しい。
緩徐な下顎膨隆、多房性透過像、エナメル器様の上皮胞巣が一致します。
d.石灰化歯原性囊胞
誤り。
幽霊細胞や石灰化物が診断の手掛かりで、本画像の主体ではありません。
e.腺腫様歯原性腫瘍
誤り。
若年女性の前歯部、特に上顎の埋伏歯周囲に好発し、腺管様構造や小石灰化物を示します。
覚えるポイント
- エナメル上皮腫は下顎・緩徐な膨隆・多房性透過像が典型です。
- 病理では周辺の柵状配列と中心の星状網様細胞を見ます。
- 歯原性粘液腫との鑑別では上皮胞巣の有無が重要です。
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