114A029|第114回 歯科医師国家試験 過去問
65歳の女性。両側頰粘膜の接触時痛を主訴として来院した。10日前からホジキンリンパ腫に対して血液内科で化学療法を受けている。病変は両側の頰粘膜から口角に及び、易出血性である。初診時の口腔内写真(別冊No. 9)を別に示す。 適切な対応はどれか。3つ選べ。

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正解: a・d・e
正答
a、d、e
この問題のポイント
化学療法開始後の易出血性びらん・潰瘍は口腔粘膜炎であり、保湿、創面保護、疼痛緩和を行います。
解説
化学療法は増殖の速い口腔粘膜上皮にも障害を与え、治療開始後に発赤、びらん、潰瘍、疼痛、出血を生じます。本例は開始10日後で、両側頰粘膜から口角へ広がる病変があり、化学療法誘発性口腔粘膜炎を考えます。対応は刺激の少ない口腔ケアと保湿を基盤とし、創傷被覆保護剤で潰瘍面への刺激を減らし、局所麻酔薬添加含嗽剤で疼痛を和らげて摂取を支えます。
感染を合併しやすいため観察は必要ですが、真菌感染の所見なしに抗真菌薬を一律投与しません。組織を蒸散・切開するCO2レーザー照射は、びまん性粘膜炎への処置ではありません。
画像の確認
実画像では、頰粘膜から口角部にかけて、びまん性の強い発赤、地図状の黄白色偽膜を伴うびらん・潰瘍、点状出血がみられます。単発の腫瘤ではなく、化学療法後の広範な粘膜障害に合致します。
選択肢の確認
a.口腔の保湿
正しい。
乾燥と摩擦を軽減し、粘膜バリアを保ちながら症状悪化を防ぎます。
b.抗真菌薬の投与
誤り。
カンジダ症を示す所見や検査結果がなく、口腔粘膜炎だけを根拠に投与しません。
c.CO2レーザーの照射
誤り。
組織切開・蒸散に用いる高出力レーザーで、広範な化学療法誘発性粘膜炎への標準的処置ではありません。
d.創傷被覆保護剤の塗布
正しい。
潰瘍面を物理的に保護し、接触痛と二次刺激を軽減します。
e.局所麻酔薬添加含嗽剤の使用
正しい。
疼痛を一時的に緩和し、会話、口腔ケア、飲食を行いやすくします。
覚えるポイント
- 化学療法後の口腔粘膜炎は保湿・保護・鎮痛が基本です。
- 感染症治療は所見や検査に基づいて追加します。
- CO2レーザーと低出力の光線療法を混同しないようにします。
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