114A064|第114回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床口腔外科学

58歳の女性。舌の腫脹を主訴として来院した。昨日、他院で下顎前歯部にインプラントを埋入し、今朝から舌の腫れを自覚しているという。8年前に心筋梗塞を発症し、現在も抗血栓療法を受けている。診察の結果、止血処置を行うこととした。処置前の口腔内写真(別冊No. 24)を別に示す。 止血処置により発症が回避できるのはどれか。1つ選べ。

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正解: d

正答

d

この問題のポイント

下顎前歯部インプラント埋入後の口底出血は舌を挙上し、急速に上気道を閉塞させる危険があります。

解説

下顎前歯部舌側の骨を穿孔すると、舌下動脈・オトガイ下動脈系などを損傷し、口底に血腫が形成されることがあります。抗血栓療法中では出血が持続しやすく、閉鎖された口底組織内に血液が貯留すると舌が挙上・後方偏位して上気道閉塞へ進みます。したがって局所圧迫、出血点の確認と止血を急ぐと同時に、呼吸状態を連続評価し、必要なら早期に気道確保を行います。

止血が直接予防するのは血腫増大による気道閉塞であり、気胸、肺塞栓、昏睡、アナフィラキシーとは機序が異なります。

画像の確認

実画像では、舌下面から口底にかけて広範な暗赤色の皮下・粘膜下出血と著しい舌腫脹がみられ、舌が口腔外へ押し出されています。下顎前歯部の処置後に進行した口底血腫が舌を後上方へ圧排し、咽頭腔を狭窄させ得る状態です。

選択肢の確認

a.気胸
誤り。胸腔内への空気流入で生じ、口底出血の止血とは関係しません。

b.昏睡
誤り。意識障害の総称であり、止血で直接回避する特異的合併症ではありません。

c.肺塞栓
誤り。血栓などによる肺動脈閉塞で、口底血腫とは異なります。

d.上気道閉塞
正しい。口底血腫が舌を挙上・後方圧排して気道を塞ぐ危険があります。

e.アナフィラキシーショック
誤り。即時型アレルギー反応であり、局所止血によって予防するものではありません。

覚えるポイント

  • 下顎前歯部手術後の口底血腫は気道緊急です。
  • 舌挙上、嚥下困難、嗄声、呼吸困難を見逃しません。
  • 止血と気道評価を同時並行で行います。

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