114B044|第114回 歯科医師国家試験 過去問
62歳の男性。下顎の腫脹を主訴として来院した。10年前から気付いていたが痛みがないためそのままにしていたところ、最近受診した近医で精査を勧められたという。腫脹部は骨様硬で圧痛はない。診断をした結果、切除することとした。初診時の口腔内写真(別冊No. 12)を別に示す。 術中損傷に注意すべきなのはどれか。2つ選べ。

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正解: a・d
正答
a、d
この問題のポイント
下顎舌側の骨性隆起を切除する際は、口腔底の解剖を意識します。粘膜骨膜弁の形成や骨削除時には、近接する舌神経と顎下腺管であるWharton管の損傷に注意します。
解説
下顎隆起は、主に下顎小臼歯部の舌側に生じる外骨症です。無症状なら経過観察できますが、義歯製作の障害、反復する潰瘍、発音・舌運動への支障などがあれば切除を検討します。切除では舌側粘膜骨膜弁を剝離して骨隆起を削除し、鋭縁を平滑化します。
下顎舌側から口腔底へ操作が及ぶため、舌の一般知覚を担う舌神経と、舌下小丘へ開口する顎下腺管〈Wharton管〉の走行に注意します。損傷すると舌の知覚障害や唾液流出障害を来す可能性があります。
画像の確認
実画像では、下顎小臼歯部を中心とする舌側歯槽部に、両側性で表面平滑な大きい骨性隆起がみられます。切除時にはこの隆起を覆う薄い粘膜を口腔底側へ展開するため、口腔底を走る舌神経とWharton管を保護する必要があります。
選択肢の確認
a.舌神経
正しい。下顎舌側・口腔底に近接し、弁形成や骨削除時に損傷しないよう注意します。
b.舌下神経
誤り。舌運動を支配しますが、本術野より深部を走行し、下顎隆起切除で特に選ぶ構造ではありません。
c.Stensen管
誤り。耳下腺管であり、頰粘膜の上顎第二大臼歯付近に開口します。
d.Wharton管
正しい。顎下腺管で、口腔底を前方へ走行して舌下小丘に開口します。
e.オトガイ神経
誤り。オトガイ孔から出て下唇・オトガイ部へ分布し、下顎舌側の本術野とは位置が異なります。
覚えるポイント
- 下顎隆起は下顎小臼歯部舌側に両側性に生じやすい外骨症です。
- 舌側・口腔底の手術では舌神経とWharton管を保護します。
- Stensen管は耳下腺管、Wharton管は顎下腺管です。
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