114B086|第114回 歯科医師国家試験 過去問
上顎部の腫脹を主訴として来院した患者のエックス線画像(別冊No. 33A)、CT(別冊No. 33B)及びMRI(別冊No. 33C)を別に示す。 最も考えられるのはどれか。1つ選べ。

解答・解説を見る
正解: g
正答
g
この問題のポイント
上顎前歯部正中の境界明瞭な囊胞性病変で、切歯管を中心に鼻腔底方向へ進展しています。最も考えられるのは鼻口蓋管囊胞です。
解説
鼻口蓋管囊胞は切歯管内に残存した鼻口蓋管上皮に由来する非歯原性囊胞です。上顎中切歯根尖間から切歯管部に境界明瞭な透過像を示し、鼻中隔の重なりなどによりハート形にみえることがあります。大きくなると口蓋前方や唇側の腫脹を生じます。隣接中切歯は通常生活歯で、歯根尖性病変との鑑別に重要です。
CTでは上顎正中の切歯管を中心とした骨膨隆・菲薄化を評価でき、MRI信号は囊胞内容の蛋白濃度などで変化します。治療は病変の大きさと周囲構造を評価したうえで摘出術などを行い、病理組織学的に確定します。
画像の確認
実画像では、パノラマエックス線画像で上顎中切歯根尖間の正中部に境界明瞭な透過像があり、冠状断CTでは切歯管から鼻腔底直下へ広がる類円形病変を認めます。MRIでも同部に境界明瞭な囊胞性病変が描出され、脂肪抑制像で脂肪性腫瘍とは異なる信号を示すため、鼻口蓋管囊胞に合致します。
選択肢の確認
a.骨腫
誤り。骨腫は成熟骨からなる高濃度・不透過性病変で、本例の囊胞性透過像とは異なります。
b.血管腫
誤り。血管性病変では造影効果や血流所見を示し、本例の切歯管中心の囊胞性病変とは異なります。
c.骨肉腫
誤り。骨破壊、骨形成、歯根膜腔拡大などを示す悪性腫瘍で、平滑な境界の正中囊胞ではありません。
d.脂肪腫
誤り。脂肪と同等の画像信号・CT値を示す軟組織腫瘍で、本例は骨内病変です。
e.鼻歯槽囊胞
誤り。梨状口外側・鼻翼基部の軟組織に生じる骨外性囊胞で、正中切歯管部には生じません。
f.類表皮囊胞
誤り。口腔では主に口底軟組織などに生じ、切歯管を中心とする上顎骨内病変ではありません。
g.鼻口蓋管囊胞
正しい。上顎前歯部正中の切歯管を中心に生じる代表的な非歯原性囊胞です。
h.術後性上顎囊胞
誤り。上顎洞手術後、通常は上顎洞部に生じる囊胞で、手術歴と部位が本例に合いません。
覚えるポイント
- 鼻口蓋管囊胞は上顎前歯部正中の切歯管に生じます。
- ハート形または類円形の境界明瞭な透過像を示します。
- 鼻歯槽囊胞は梨状口外側の軟組織病変です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。