114C072|第114回 歯科医師国家試験 過去問
71歳の女性。口蓋部のびらんを主訴として来院した。2週前に自覚し、徐々に食事時の疼痛が増悪してきたという。初診時の口腔内写真(別冊No. 31A)、頸部の写真(別冊No. 31B)、上腕部皮膚の写真(別冊No. 31C)及び生検時のH-E染色病理組織像(別冊No. 31D)を別に示す。血液検査結果を表に示す。 白血球数:6,590/μL 赤血球数:374万/μL ヘモグロビン:11.5 g/dL ヘマトクリット:35.6% AST:19 IU/L ALT:13 IU/L PT-INR:0.90 CRP:0.10 mg/dL 抗BP180抗体:80.2倍(基準値<9.0倍) 抗デスモグレイン1抗体:<3.0倍(基準値<20.0倍) 抗デスモグレイン3抗体:<3.0倍(基準値<20.0倍) 考えられるのはどれか。1つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
高齢者の口腔粘膜びらんと皮膚の水疱性病変に、抗BP180抗体高値と上皮下水疱を認める場合は類天疱瘡です。BP180は基底膜部のヘミデスモソーム関連蛋白で、自己抗体により上皮と結合組織の接着が障害されます。
解説
類天疱瘡は上皮下に水疱を形成する自己免疫性水疱症で、口腔では剝離性歯肉炎、びらん、水疱として現れます。粘膜優位の粘膜類天疱瘡では眼や咽喉頭などの瘢痕性病変にも注意します。病理組織では上皮全層が結合組織から剝離し、直接蛍光抗体法で基底膜部にIgGやC3の線状沈着を認めます。天疱瘡はデスモグレイン抗体と上皮内棘融解を特徴とするため、本例の検査結果と異なります。
画像の確認
実画像では、硬口蓋正中部に発赤を伴うびらんがあり、頸部と上腕皮膚には痂皮を伴う多発性の紅斑・水疱性病変がみられます。H-E染色では上皮が一塊として結合組織から剝離する上皮下裂隙が確認でき、抗BP180抗体高値と整合します。
選択肢の確認
a.天疱瘡
誤り。抗デスモグレイン抗体と上皮内の棘融解性水疱を特徴とし、本例では関連抗体が陰性です。
b.平苔癬
誤り。白色の網状線条や帯状リンパ球浸潤を示す慢性炎症性疾患で、抗BP180抗体とは結び付きません。
c.類天疱瘡
正しい。抗BP180抗体陽性、上皮下水疱、口腔と皮膚の病変が一致します。
d.Behçet病
誤り。反復性アフタ、外陰部潰瘍、眼症状などを主徴とし、上皮下水疱症ではありません。
e.多形滲出性紅斑
誤り。標的状皮疹や急性の広範な粘膜炎を示しますが、BP180自己抗体による慢性水疱症ではありません。
覚えるポイント
- 類天疱瘡は抗BP180抗体と上皮下水疱が特徴です。
- 天疱瘡は抗デスモグレイン抗体と上皮内棘融解で区別します。
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