115A038|第115回 歯科医師国家試験 過去問
76 歳の女性。下顎前歯部の審美不良とブラッシング時の出血を主訴として来院 した。 5か月前から自覚していたがそのままにしていたという。初診時の口腔内写 真 (別冊No. 10 )を別に示す。歯周組織検査結果の一部を表に示す。 動揺度*00013113113112* 唇 側* 歯 種 12④④④④口蓋側* ④ ④ ④ ④ ④ ④ 舌 側* ④ 43④ ④ ④ 3④ ④ 334歯 種 21121④⑤④唇 側* ④ ④ ④ ④ ④ ⑤ ⑤ ④ ④ 動揺度** 0000* :プロービング深さ (mm )〇印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 まず行う処置はどれか。 2つ選べ。

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正解: d・e
正答
d、e
この問題のポイント
広範なプラーク性炎症を認める歯周炎患者に対し、まず行う歯周基本治療を選びます。緊急処置や咬合治療が必要な所見があるかも確認します。
解説
症例ではブラッシング時出血があり、歯周組織検査で複数部位にプロービング時出血と4〜5mmの歯周ポケットを認めます。一方、表に示された歯の動揺度は0で、著しい動揺はありません。
この段階では、原因である歯肉縁上・縁下のプラークと歯石を除去することが最優先です。患者自身が歯間部を清掃できるよう、歯間ブラシによる清掃指導を行います。続いて、歯科医療者がスケーリング・ルートプレーニングを行い、歯石と汚染根面を処置します。
これらの歯周基本治療後に再評価し、残存ポケット、咬合性外傷、動揺、歯周外科の必要性を判断します。
治療選択のポイント
「まず行う」と問われたら、急性炎症の有無、動揺、咬合性外傷を確認したうえで、原因除去療法を優先します。
画像の確認
実画像では、歯頸部に多量のプラーク・歯石、歯肉退縮および歯間部の炎症がみられる。併記された歯周組織検査表には4〜5 mmの歯周ポケットと複数部位のプロービング時出血が示される一方、動揺度はすべて0である。このため歯間清掃指導とスケーリング・ルートプレーニングが正答となる。
選択肢の確認
a.咬合調整
最優先ではありません。
早期接触や咬合性外傷が明確な場合には検討しますが、本症例では動揺度0であり、まずプラークと歯石の除去を行います。
b.暫間固定
最優先ではありません。
暫間固定は咀嚼に支障をきたす病的動揺や、歯周治療中の安静が必要な歯に行います。検査表では著しい動揺を認めません。
c.歯肉膿瘍切開
適応ではありません。
切開・排膿は波動を伴う限局性腫脹、排膿、急性疼痛など歯周膿瘍の所見がある場合に行います。本症例には急性膿瘍を示す情報がありません。
d.歯間ブラシによる清掃指導
正答。まず行います。
歯間部のプラークを患者自身が除去できるよう、歯間空隙に合ったサイズと挿入方向を指導します。歯周治療の基盤となる処置です。
e.スケーリング・ルートプレーニング
正答。まず行います。
歯肉縁上・縁下の歯石とバイオフィルムを除去し、炎症の原因を減らす歯周基本治療です。
覚えるポイント
- 歯周基本治療の中心は口腔清掃指導とスケーリング・ルートプレーニングです。
- プロービング時出血は歯周組織の炎症を示します。
- 暫間固定は動揺、切開は膿瘍、咬合調整は咬合性外傷の所見がある場合に検討します。
- 基本治療後には必ず再評価を行います。