115C028第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

26 歳の男性。下顎右側臼歯部の腫れを主訴として来院した。気管支喘息の既往 がある。診察の結果、智歯周囲炎と診断し、全身麻酔下において抜歯した。術後創 部痛のためロキソプロフェンナトリウム水和物を内服させたところ、次第に著明な 咳嗽と喘鳴が生じた。呼吸困難のためサルブタモール硫酸塩の吸入ができなかっ た。この時の生体情報モニタ画面の写真 (別冊No. 4 )を別に示す。 次に投与するのはどれか。 2つ選べ。

115C028の問題画像
2つ選択
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正解: a・b

正答

a、b

この問題のポイント

ロキソプロフェン内服後に著明な咳嗽、喘鳴、呼吸困難が生じています。NSAIDs誘発喘息による重篤な気管支攣縮を考え、低酸素血症の改善と気管支拡張を優先します。

解説

患者には気管支喘息の既往があり、酸性NSAIDsであるロキソプロフェンナトリウム水和物の内服後に、咳嗽、喘鳴、呼吸困難が出現しています。COX-1阻害によってロイコトリエン産生が増加し、強い気管支収縮を起こした可能性があります。

モニタではSpO2が著しく低下しており、重度の低酸素血症を認めます。まず高濃度の酸 素を投与し、気道確保と呼吸状態の継続評価を行います。

通常は吸入β2刺激薬が第一選択となりますが、本症例では呼吸困難が強く、サルブタモール硫酸塩を吸入できません。このため、β2作用による気管支拡張とα作用による気道浮腫軽減が期待できるアドレナリンを投与します。必要に応じて救急対応を要請し、換気補助や気管挿管を準備します。

全身管理上の注意点
救急時は原因診断に時間をかけすぎず、意識、気道、呼吸、循環を評価します。NSAIDsで喘息発作を起こした既往は、今後の鎮痛薬選択に必ず反映します。

画像の確認

実画像では、モニターに心拍数90/分、血圧113/68 mmHgに対しSpO2 78%と著しい低値が表示され、心電図は規則的な狭いQRS波形を示す。循環は保たれながら重度低酸素血症が前景にあるため、酸素投与とアドレナリン投与を選ぶ正答a、bを支持する。

選択肢の確認

a.酸 素
正しい。
低酸素血症が進行しているため、酸素投与を直ちに開始します。SpO2、呼吸数、胸郭運動、意識を継続して評価します。

b.アドレナリン
正しい。
重篤な気管支攣縮があり、吸入β2刺激薬を使用できない状況です。アドレナリンによる気管支拡張を図ります。

c.ニトログリセリン
誤り。
狭心症や急性心不全などで用いる血管拡張薬です。喘息発作の気管支攣縮を解除する薬ではなく、血圧低下を悪化させる可能性があります。

d.ランジオロール塩酸塩
誤り。
短時間作用型β1遮断薬です。気管支攣縮時にβ遮断薬を投与すると、気管支拡張を妨げる可能性があります。

e.チオペンタールナトリウム
誤り。
静脈麻酔薬であり、呼吸抑制を起こします。重篤な喘息発作に対する治療薬ではありません。

覚えるポイント

  • NSAIDs誘発喘息ではCOX-1阻害とロイコトリエン増加が関与します。
  • 重度低酸素血症には酸素投与を優先します。
  • 吸入薬が使用できない重症気管支攣縮ではアドレナリンを検討します。

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