115C029第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯科矯正学

7歳の女児。前歯の咬み合わせの異常を主訴として来院した。切端咬合位はとれ ない。診断をした結果、矯正歯科治療を行うこととした。初診時の顔面写真 (別冊 No. 5A 、口腔内写真 (別冊No. 5B 及びエックス線画像 (別冊No. 5C を別に示 す。セファロ分析の結果を図に示す。 (セファロ分析図は問題画像参照) 適切な矯正装置はどれか。 2つ選べ。

115C029の問題画像
2つ選択
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正解: c・d

正答

c、d

この問題のポイント

7歳で切端咬合位をとれない前歯部反対咬合があり、顔貌・セファロ所見から上顎骨の成長不足を伴う骨格性Ⅲ級を考えます。成長期に上顎を前方へ誘導し、前歯の歯軸を整えます。

解説

口腔内写真では前歯部反対咬合を認め、切端咬合位をとれないことから、単なる機能性反対咬合より骨格性要因が強いと考えます。顔貌とセファロ分析では、上顎の後方位を中心とした骨格性Ⅲ級を評価します。

上顎前方牽引装置は、成長期に上顎骨を前方へ牽引し、中顔面の成長を促す装置です。7歳は顎顔面成長を利用しやすい時期であり、上顎劣成長による反対咬合に適します。

リンガルアーチは、臼歯を固定源として前歯部へ補助弾線を作用させ、上顎前歯の唇側移動や歯列弓の調整を行えます。骨格への上顎前方牽引と、歯性反対咬合の改善を組み合わせます。

症例問題の解き方
反対咬合では、切端咬合位がとれるか、上顎・下顎の骨格的位置、前歯歯軸、年齢を確認します。成長期の上顎劣成長では、上顎前方牽引を優先します。

画像の確認

実画像では、前歯部反対咬合と負のオーバージェットがあり、側貌では上顎部の後退傾向がみられる。セファログラム上も上顎前方位を示す計測値が低く、上顎前方牽引と前歯の改善に用いるリンガルアーチを選ぶ正答c、dを支える。

選択肢の確認

a.チンキャップ
誤り。
下顎の前方成長を抑制・方向転換する目的で用いられてきた装置です。本症例では上顎劣成長への対応が中心であり、第一選択ではありません。

b.リップバンパー
誤り。
下口唇・頰の圧を排除して下顎歯列弓を拡大し、下顎大臼歯や前歯へ作用させる装置です。骨格性Ⅲ級の上顎劣成長を改善する装置ではありません。

c.リンガルアーチ
正しい。
固定源として利用し、補助弾線などにより前歯の歯軸や排列を調整できます。前歯部反対咬合の歯性要因を改善します。

d.上顎前方牽引装置
正しい。
成長期の上顎骨を前方へ牽引し、上顎劣成長を伴う骨格性Ⅲ級を改善します。

e.マルチブラケット装置
誤り。
永久歯列での包括的な歯の排列には有効ですが、7歳の混合歯列期に骨格性上顎劣成長へ単独で対応する第一選択ではありません。

覚えるポイント

  • 切端咬合位をとれない反対咬合では骨格性要因を疑います。
  • 上顎劣成長には上顎前方牽引装置を用います。
  • 成長期は骨格への治療効果を得やすい時期です。

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