115C037|第115回 歯科医師国家試験 過去問
43 歳の男性。右側舌縁部の 疼痛を主訴として来院した。 1か月前から気になっ ていたがそのままにしていたという。右側舌縁に13×13 mm 大の病変を認め、頸 部リンパ節に異常は認められない。初診時の口腔内写真 (別冊No. 9A 、MRI (別冊 No. 9B 、舌の口腔内超音波画像 (別冊No. 9C 及び生検時のH-E 染色病理組織像 (別冊No. 9D を別に示す。 適切な治療法はどれか。 1つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
右側舌縁の13×13 mmの病変で、超音波画像では深達度が約5 mm、病理では角化を伴う扁平上皮癌を認めます。頸部リンパ節に異常のない切除可能な早期舌癌には、舌部分切除術が適切です。
解説
舌縁は口腔扁平上皮癌の好発部位です。本症例では1か月持続する疼痛性病変があり、口腔内写真では右側舌縁に潰瘍性病変を認めます。
口腔内超音波画像では、病変の深達度が約5 mmと示されています。病理組織像では、異型扁平上皮細胞が間質へ浸潤し、癌胞巣内に角化真珠を形成しており、扁平上皮癌と診断します。
病変径は13 mmで、頸部リンパ節に異常を認めません。局所切除で安全域を確保できる早期病変であるため、舌の機能を可能な限り温存する舌部分切除術を選択します。切除標本では切除断端と深達度などを病理学的に評価し、その後の治療方針を決めます。
治療選択のポイント
舌癌では、病変の最大径だけでなく、深達度、正中への進展、舌根への進展、頸部リンパ節転移の有無を確認します。
画像の確認
実画像では、舌側縁に約13 mmの限局した発赤・潰瘍性病変があり、超音波画像には深さ5 mmの表示がある。組織像の角化を伴う上皮性胞巣と、MRIで広範な進展が目立たない局在性所見から、部分切除を選ぶ正答cが支持される。
選択肢の確認
a.重粒子線治療
誤り。
重粒子線治療は一部の切除困難腫瘍などで検討されますが、外科的に切除可能な小型の早期舌扁平上皮癌に対する第一選択ではありません。
b.舌半側切除術
誤り。
舌半側切除術は、舌の広い範囲へ進展した病変などで必要になります。本症例の13×13 mmの限局病変には侵襲が大きすぎます。
c.舌部分切除術
正答。最も適切です。
病変を十分な安全域とともに切除しながら、健常舌組織を温存できます。切除可能な早期舌癌に適します。
d.レーザー照射
誤り。
表在性病変でレーザーを用いることはありますが、本症例は深達度約5 mmの浸潤性扁平上皮癌です。十分な深部・側方断端を確認できる外科切除が必要です。
e.5-FU 軟膏塗布
誤り。
5-FU 軟膏は一部の表在性上皮性病変で検討されることがありますが、浸潤性舌癌の根治治療にはなりません。
覚えるポイント
- 舌縁の治りにくい潰瘍や硬結では扁平上皮癌を疑います。
- 超音波検査は舌癌の深達度評価に有用です。
- 小型で切除可能な早期舌癌では舌部分切除術を行います。