115C056第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

32 歳の男性。下顎左側臼歯部のブラッシング時の痛みと冷水痛を主訴として来 院した。 2年前から自覚していたがそのままにしていたという。歯周基本治療後の 再評価時のプロービング深さはすべて 3mm 以下であったが、症状が改善されな かったため、歯周外科治療を行った。初診時と術後 5か月の口腔内写真 (別冊No. 19A、B を別に示す。 本症例で行った歯周外科治療はどれか。 2つ選べ。

115C056の問題画像
2つ選択
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正解: a・e

正答

a、e

この問題のポイント

歯周基本治療後も、露出根面によるブラッシング時痛と冷水痛が残っています。根面被覆と歯肉厚の増加を目的に、結合組織移植術と歯肉弁歯冠側移動術を組み合わせます。

解説

症例は32歳で、下顎左側臼歯部に歯肉退縮を認めます。再評価時のプロービング深さは3mm以下であり、深い歯周ポケットの除去が目的ではありません。主な問題は露出根面による知覚過敏とブラッシング時痛です。

歯肉弁歯冠側移動術では、歯肉弁を歯冠側へ移動して露出根面を被覆します。

結合組織移植術では、口蓋などから採取した結合組織を退縮部へ移植します。歯肉の厚みを増し、血流を確保しながら根面被覆の予知性と長期安定性を高めます。

写真では複数歯に連続する歯肉退縮があり、術後には歯肉辺縁が歯冠側へ移動し、根面露出が改善しています。このような症例では、結合組織移植を併用した歯冠側移動術が適します。

治療選択のポイント
根面被覆術では、退縮の範囲、隣接面の支持組織、歯肉の厚さ、角化歯肉幅、前庭の深さを確認します。

画像の確認

実画像では、術前に下顎臼歯部の複数歯で歯肉退縮と長い露出根面がみられ、5か月後には歯肉辺縁が歯冠側へ移動し組織の厚みも増している。複数歯の根面被覆を示す変化から、結合組織移植術と歯冠側移動術を選ぶ正答a、eが支持される。

選択肢の確認

a.結合組織移植術
正しい。
歯肉の厚みと血流を増やし、根面被覆の予知性と長期安定性を高めます。

b.遊離歯肉移植術
誤り。
角化歯肉幅を増やす目的には有効ですが、色調や血流の点で審美的な根面被覆の予知性は結合組織移植術より低くなります。本症例の中心処置ではありません。

c.歯肉弁側方移動術
誤り。
隣接部に十分な歯肉がある単独の限局性退縮で用いることがあります。本症例のような複数歯に連続する退縮には適応しにくい術式です。

d.両側乳頭弁移動術
誤り。
両側の歯間乳頭を利用して単独の狭い退縮を被覆する術式です。複数歯にわたる退縮には適しません。

e.歯肉弁歯冠側移動術
正しい。
歯肉弁を歯冠側へ移動して露出根面を被覆します。結合組織移植術と併用することで安定した根面被覆を得やすくなります。

覚えるポイント

  • 歯肉退縮による知覚過敏には根面被覆術を検討します。
  • 結合組織移植+歯冠側移動術は予知性の高い組合せです。
  • 遊離歯肉移植術は主に角化歯肉幅の増大に用います。

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