115C062第115回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯内療法学

65 歳の女性。上顎右側第一大臼歯の自発痛を主訴として来院した。 1年前から 時々軽度の自発痛を自覚していたが、昨夜就寝後から症状が強くなり、熱いものを 口に入れると増悪するという。打診痛を認め、歯髄電気診で生活反応を示した。初 診時の口腔内写真 (別冊No. 23A とエックス線画像 (別冊No. 23B を別に示す。歯 周組織検査結果の一部を表に示す。 頰 側* ④ ⑤ ⑧ ④ 3歯 種 76④3口蓋側* 3⑤ ⑧ ④ 動揺度*1* * :プロービング深さ (mm )〇印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 まず行うのはどれか。 1つ選べ。

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正解: c

正答

c

この問題のポイント

夜間に増悪する自発痛、温熱刺激で増悪、歯髄電気診で生活反応ありという所見から、生活歯髄に不可逆的炎症が生じていると判断します。まず疼痛の原因となる歯髄を除去する抜髄を行います。

解説

症例は65歳の女性で、上顎右側第一大臼歯に1年前から軽度の自発痛があり、昨夜から急激に増悪しています。熱いものによって疼痛が強くなること、夜間の自発痛があることは、不可逆性歯髄炎を示唆する重要な情報です。

歯髄電気診で生活反応を示しているため、歯髄は壊死しておらず、炎症を伴う生活歯髄が残っています。打診痛は炎症が根尖側の歯根膜へ波及していることを示します。

この状態では、鎮痛と感染源除去のために、局所麻酔下で髄腔を開拡して歯髄を除去する抜髄をまず行います。その後、根管形成・根管洗浄・根管充塡へ進みます。

歯周組織検査では深いプロービング値や出血所見が含まれていますが、現在の強い自発痛を直接説明する中心病態は歯髄炎です。歯周治療が必要であっても、急性疼痛への対応を優先します。

症例問題の解き方
自発痛、夜間痛、温熱痛が持続・増悪し、生活反応がある場合は不可逆性歯髄炎を考えます。打診痛があれば根尖歯周組織への炎症波及も確認します。

画像の確認

実画像では、上顎臼歯に大きな修復物と著しい歯冠欠損があるが、デンタル像で急性根尖病変を決める明瞭な像は目立たない。夜間自発痛・温熱痛と生活反応を画像の保存可能な残存歯質と合わせると、歯髄を原因として根管治療を優先する正答cを支える。

選択肢の確認

a.局所薬物配送システム〈LDDS〉
状況によって歯周治療で用いますが、この時点での最優先ではありません。
歯周ポケット内へ抗菌薬を局所投与する方法です。不可逆性歯髄炎による強い自発痛を解除する処置ではありません。

b.スケーリング・ルートプレーニング
状況によって行いますが、まず行う処置ではありません。
歯周基本治療として歯石や感染性沈着物を除去します。しかし、本症例の急性疼痛は生活歯髄の不可逆的炎症が中心であり、まず歯髄処置を行います。

c.抜 髄
正答。まず行います。
不可逆性歯髄炎に対し、炎症を起こした歯髄を除去して疼痛と感染源を取り除きます。歯を保存するための根管治療へつながる処置です。

d.歯根切除
この時点では適応が異なります。
歯根切除は、多根歯の一部歯根に限局した重度歯周病変や根管治療上の問題がある場合などに検討します。初回の急性歯髄炎治療として行う処置ではありません。

e.抜 歯
必要となる可能性はありますが、まず行う処置ではありません。
歯が保存不能であれば抜歯を検討しますが、問題文から直ちに保存不能とは判断できません。まず根管治療による保存を図ります。

覚えるポイント

  • 夜間自発痛・温熱痛・生活反応ありは不可逆性歯髄炎を示唆します。
  • 打診痛は根尖歯周組織への炎症波及を示します。
  • 保存可能な歯では、まず抜髄・根管治療を行います。

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