116D049第116回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

58 歳の女性。上顎左側臼歯部の腫脹と鈍痛を主訴として来院した。1 年前から 自覚し、徐々に増大しているという。同部の歯肉頰移行部に線状の瘢痕を認める。 初診時の口腔内写真(別冊No. 14A)、エックス線画像(別冊No. 14B)、CT(別冊 No. 14C)、穿刺吸引時の内容液の写真(別冊No. 14D)及び生検時のH-E 染色病理 組織像(別冊No. 14E)を別に示す。 診断名はどれか。1 つ選べ。

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正解: d

正答

d

この問題のポイント

上顎洞の嚢胞性病変では、過去の上顎洞手術歴を示す瘢痕、発症までの長い期間、画像と内容液を統合します。

解説

歯肉頰移行部の線状瘢痕は、過去に上顎洞根治術などの手術を受けた可能性を示します。術後長期間を経て、上顎洞内に徐々に増大する嚢胞が生じる病態が術後性上顎囊胞です。

提示画像・内容液・病理像も嚢胞性病変に合致します。術後性上顎嚢胞の上皮は呼吸上皮などからなり、周囲骨を圧迫・吸収しながら拡大します。

画像の確認

実画像では、左上顎洞が境界明瞭な軟組織濃度の内容でほぼ満たされ、周囲骨を圧迫して膨隆させているが、癌を示す虫食い状の不整破壊ではない。穿刺液は暗褐色で、病理像では線毛をもつ多列円柱上皮が囊胞壁を裏装しており、歯肉頰移行部の手術瘢痕と合わせて術後性上顎囊胞を支持する。

選択肢の確認

a.歯根囊胞
誤り。歯根囊胞は失活歯の根尖部に生じる炎症性歯原性囊胞で、上顎洞手術瘢痕との関連を説明できません。

b.上顎洞癌
誤り。上顎洞癌では不整な骨破壊、浸潤性増殖、悪性上皮像などを考えます。

c.歯性上顎洞炎
誤り。歯性上顎洞炎は原因歯の感染と洞粘膜肥厚が中心で、長期間増大する嚢胞と手術瘢痕の組合せではありません。

d.術後性上顎囊胞
正しい。上顎洞手術後の瘢痕、長い経過、嚢胞性病変から術後性上顎囊胞と診断します。

e.上顎洞粘液貯留囊胞
誤り。上顎洞粘液貯留囊胞は洞粘膜由来のドーム状病変で、通常は大きな骨膨隆や手術瘢痕を伴いません。

覚えるポイント

  • 術後性上顎囊胞は上顎洞手術後、長期間を経て発症します。
  • 手術瘢痕は強い診断手掛かりです。
  • 失活歯根尖病変や上顎洞癌との鑑別を行います。

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