118A060|第118回 歯科医師国家試験 過去問
23 歳の女性。下顎右側智歯周囲歯肉の自発痛を主訴として来院した。診察の結 果、8 の抜歯を行うこととした。アドレナリン含有2 %リドカイン塩酸塩で浸潤 麻酔を行ったところ次第に意識レベルが低下した。このときの手指の写真(別冊 No. 16)を別に示す。 意識レベル低下の原因はどれか。1 つ選べ。

解答・解説を見る
正解: a
正答
a
この問題のポイント
局所麻酔時の不安を契機に過換気となり、手指の強直性収縮がみられています。過換気ではPaCO2が低下し、脳血管収縮によって脳血流が減少します。
解説
過換気により二酸化炭素が過剰に排出されると、呼吸性アルカローシスとなります。脳血管は収縮し、脳血流が低下するため、めまい、しびれ、意識レベル低下を生じます。
また、アルカローシスでアルブミンへのカルシウム結合が増え、イオン化カルシウムが低下すると、手指に助産師手位のようなテタニーが現れます。
全身管理上の注意点
治療を中止し、患者を安心させ、ゆっくり呼吸させます。酸素化とバイタルを確認し、他の緊急疾患を除外します。
画像の確認
実画像では、両手指が屈曲してこわばる手足攣縮様の姿勢を示している。過換気による低二酸化炭素血症では脳血流量が低下するため、正答aを支える。
選択肢の確認
a.脳血管収縮
正しい。
低二酸化炭素血症により脳血管が収縮し、脳血流が低下して意識症状を生じます。
b.脈拍数減少
誤り。
脈拍減少は血管迷走神経反射でみられます。手指テタニーを伴う過換気の主要機序ではありません。
c.心拍出量減少
誤り。
血管迷走神経反射では関与しますが、本症例の意識低下は低二酸化炭素血症による脳血流低下で説明されます。
d.血管透過性亢進
誤り。
アナフィラキシーでは血管透過性亢進により浮腫・血圧低下が生じます。手指テタニーとは合いません。
e.副交感神経活動の亢進
誤り。
血管迷走神経反射の機序であり、過換気症候群の中心ではありません。
覚えるポイント
- 過換気 → PaCO2低下 → 脳血管収縮です。
- 呼吸性アルカローシスでイオン化Caが低下し、手指テタニーを生じます。
- 血管迷走神経反射との鑑別では脈拍と皮膚所見を確認します。