118A074|第118回 歯科医師国家試験 過去問
62 歳の男性。上顎右側臼歯部歯肉からの出血を主訴として来院した。2 か月前 からブラッシング時の出血を自覚していたが、自然に止血するためそのままにして いたところ、昨夜のブラッシング後からの出血が止まらないという。3 年前から降 圧薬を服用し、3 か月前から全身倦怠感を自覚している。体温37.5℃、脈拍 100/分、血圧130/88 mmHg であった。初診時の口腔内写真(別冊No. 23)を別に示 す。血液検査の結果を表に示す。 白血球数 :1,400/μL 白血球分画 好中球 :24% 単球 :2 % リンパ球 :72% 赤血球数 :245 万/μL 網赤血球 :0.4%(基準値0.5~2.0%) ヘモグロビン :9.8 g/dL ヘマトクリット :22.1% 血小板数 :7.7 万/μL MCV :92 fL(基準値80~100 fL) MCH :29 pg(基準値27~31 pg) MCHC :32%(基準値30~35%) AST :42 U/L ALT :40 U/L PT :11 秒(基準値10~12 秒) APTT :34.4 秒(基準値24~39 秒) 血漿フィブリノゲン:288 mg/dL(基準値200~400 mg/dL) CRP :1.08 mg/dL 血清FDP :4 μg/mL(基準値15 μg/mL 未満) D ダイマー :0.8 μg/mL(基準値1.0 μg/mL 未満) 血清鉄 :120 μg/dL(基準値70~160 μg/dL) ビタミンB12 :320 pg/mL(基準値180~914 pg/mL) 考えられるのはどれか。1 つ選べ。

解答・解説を見る
正解: a
正答
a
この問題のポイント
白血球、赤血球、血小板が全て減少する汎血球減少と、網赤血球低値がみられます。凝固検査は保たれており、骨髄造血低下による再生不良性貧血を考えます。
解説
白血球1,400/μL、赤血球245万/μL、血小板7.7万/μLで三系統が減少しています。網赤血球0.4%は骨髄からの赤血球産生が低下していることを示します。
MCVは正常範囲で、鉄・ビタミンB12も保たれています。PT、APTT、フィブリノゲン、FDP、Dダイマーは大きく異常でなく、消費性凝固障害は考えにくい所見です。
好中球絶対数は約336/μLで重度好中球減少がありますが、体温37.5℃であり、設問時点で発熱性好中球減少症の典型基準を満たすとはいえません。
全身管理上の注意点
出血と重篤な感染の危険があるため、観血的歯科処置を避け、速やかに血液内科へ連携します。
画像の確認
実画像では、上顎右側臼歯部に持続性出血があり、表には白血球・赤血球・血小板の三系統低下と正常範囲の凝固時間が示されている。汎血球減少を呈する再生不良性貧血を選ぶ正答aに対応する。
選択肢の確認
a.再生不良性貧血
正しい。
骨髄造血低下により汎血球減少と網赤血球減少を生じ、歯肉出血、感染、倦怠感がみられます。
b.von Willebrand 病
誤り。
粘膜出血を生じますが、白血球・赤血球・血小板の汎血球減少は説明できません。
c.血小板減少性紫斑病
誤り。
主に血小板が選択的に低下します。本症例では白血球と赤血球も減少しています。
d.発熱性好中球減少症
誤り。
重度好中球減少はありますが、提示体温は37.5℃です。背景疾患として骨髄不全を診断する問題です。
e.播種性血管内凝固症候群
誤り。
DICでは血小板低下に加え、凝固時間延長、フィブリノゲン低下、FDP・Dダイマー上昇がみられます。本症例の凝固系は保たれています。
覚えるポイント
- 汎血球減少+網赤血球低下は骨髄造血低下を考えます。
- 再生不良性貧血では貧血、感染、出血が問題です。
- DICでは消費性凝固異常とFDP・Dダイマー上昇を確認します。