118D022|第118回 歯科医師国家試験 過去問
81 歳の女性。上顎全部床義歯の脱落と咀嚼時の疼痛を主訴として来院した。義 歯は5 年前に製作し、3 か月前から自覚しているという。診察の結果、ある処置後 に硬質リライン材を用いた直接法によるリラインを行うこととした。初診時の口腔 内写真(別冊No. 4A)、操作中の写真(別冊No. 4B)及び処置後の上顎義歯の写真 (別冊No. 4C)を別に示す。 この処置はどれか。1 つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
疼痛を伴う不適合義歯を直ちに硬質材料でリラインすると、変形した粘膜形態を固定してしまいます。まず粘膜調整で支持粘膜を回復させます。
解説
粘膜調整は、粘弾性のあるティッシュコンディショナーを義歯粘膜面に用い、義歯による局所圧を分散して炎症・浮腫・変形を改善する処置です。粘膜が健康な状態に戻った後に、硬質リライン材で適合を回復します。
治療選択のポイント
疼痛や発赤がある支持粘膜では、最終印象や硬質リラインの前に組織を休ませ、正常形態へ回復させます。
画像の確認
実画像Aでは、上顎無歯顎粘膜に発赤と限局した隆起がみられ、義歯床下粘膜が健全な状態ではない。Bは調整材を練和する場面、Cは義歯床粘膜面に白色の調整材を広く裏装した状態を示しており、硬質リライン前に粘膜調整を行った一連の像と読める。
選択肢の確認
a.咬合印象
誤り。
咬合印象は咬合圧下で義歯床下粘膜を記録する印象法で、炎症粘膜を回復させる処置ではありません。
b.咬座印象
誤り。
咬座印象は義歯の咬合状態を利用して機能的に印象する方法で、粘膜の治癒を目的としません。
c.粘膜調整
正しい。
粘膜調整は粘弾性材料で負担を分散し、圧痕や炎症を改善してからリラインへ進むため適切です。
d.ダイナミック印象
誤り。
ダイナミック印象は機能運動下で粘膜形態を記録する考え方で、設問が示す前処置の中心は粘膜調整です。
e.ウォッシュインプレッション
誤り。
ウォッシュインプレッションは既存の印象や義歯に低粘度材料を追加して精密化する方法で、炎症粘膜の回復処置ではありません。
覚えるポイント
- 疼痛のある義歯床下粘膜では、まず粘膜調整を行います。
- 粘膜が回復してから硬質リラインを行います。
- 不健康な粘膜形態をそのまま最終記録しないことが重要です。