Y2024M10E1Q15|第2024年10月公表(第一種) 第一種・第二種衛生管理者免許試験 過去問
金属などによる健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この問題では、代表的な金属・半金属による職業性中毒について、原因物質と特徴的な障害を対応させます。
選択肢3にある「指の骨の溶解」と「肝臓の血管肉腫」は、クロムではなく、主として塩化ビニルによる慢性障害として知られています。
解説
金属水銀
金属水銀の蒸気を吸入すると、主に中枢神経系や腎臓が障害されます。
慢性中毒では、感情不安定、興奮、抑うつ、不眠、幻覚などの精神神経症状や、手指の細かい震えがみられます。口内炎や歯肉炎を伴うこともあります。
鉛
鉛は、造血器、末梢神経、消化器、腎臓などへ影響します。
代表的な症状には、ヘム合成障害による貧血、伸筋麻痺などの末梢神経障害、腹部疝痛、便秘などがあります。
クロム
特に六価クロム化合物は、強い刺激性・腐食性と感作性を持ちます。
皮膚炎、皮膚潰瘍、鼻中隔穿孔、気道障害などを起こし、長期ばく露では肺がんなどのリスクが問題となります。
指端骨溶解や肝血管肉腫は、クロム中毒の代表的所見ではありません。
カドミウム
カドミウムの粉じんやヒュームを高濃度で吸入すると、上気道炎、化学性肺炎、肺水腫などを起こすことがあります。
慢性ばく露では、腎尿細管障害を中心とする腎機能障害や骨障害が重要です。
砒素
砒素化合物への慢性ばく露では、角化症、色素沈着による黒皮症などの皮膚障害がみられます。
粉じんやミストの局所刺激により、鼻中隔穿孔を起こすこともあります。長期ばく露では発がん性にも注意します。
ひっかけポイント
「指端骨溶解、肝血管肉腫」は塩化ビニル、「鼻中隔穿孔」は六価クロムや砒素で問題になります。
化学物質管理のポイント
金属中毒では、物質の形態が重要です。水銀蒸気、溶接や加熱で生じる金属ヒューム、粉じん、ミストでは、ばく露経路と換気対策が異なります。SDS、局所排気、湿潤化、作業環境測定、保護具、特殊健康診断を結びつけて管理します。
選択肢の確認
1.金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害、手指の震えなどの症状がみられる。
記述としては正しい。
金属水銀蒸気への慢性ばく露では、精神神経症状や手指の振戦が代表的です。
2.鉛中毒では、貧血、末梢神経障害、腹部の疝痛などの症状がみられる。
記述としては正しい。
鉛はヘム合成を障害して貧血を起こし、末梢神経障害や鉛疝痛と呼ばれる強い腹痛を起こすことがあります。
3.クロム中毒では、指の骨の溶解、肝臓の血管肉腫などがみられる。
正答。記述としては誤り。
指端骨溶解と肝血管肉腫は、主として塩化ビニルの慢性ばく露で知られる障害です。六価クロムでは、皮膚潰瘍、鼻中隔穿孔、気道障害、肺がんなどが重要です。
4.カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。
記述としては正しい。
カドミウムの急性吸入ばく露では上気道炎や化学性肺炎が、慢性ばく露では腎機能障害などがみられます。
5.砒素中毒では、角化症、黒皮症などの皮膚障害、鼻中隔穿孔などの症状がみられる。
記述としては正しい。
砒素の慢性中毒では、皮膚の角化や色素沈着、局所刺激による鼻中隔穿孔などがみられることがあります。
覚えるポイント
- 金属水銀では、精神神経症状と手指振戦が重要である。
- 鉛では、貧血、末梢神経障害、腹部疝痛が重要である。
- 六価クロムでは、皮膚障害、鼻中隔穿孔、肺がんなどが問題となる。
- カドミウムでは、肺障害と腎尿細管障害が重要である。
- 砒素では、角化症、黒皮症、鼻中隔穿孔などがみられる。
- 指端骨溶解と肝血管肉腫は、塩化ビニルと結びつける。