116D21|第116回 医師国家試験 過去問
内科系循環器心膜・心筋炎・感染性心疾患
67歳の男性。7週間前から38℃前後の発熱を繰り返し、市販解熱薬で一時的に改善も再度発熱を繰り返す。 既往として60歳時に健診で中等度の大動脈弁逆流症(AR)を指摘されフォロー中。来院時血液検査でWBC 14,800、CRP 14mg/dL、心エコーで大動脈弁の逆流と弁への疣贅付着を認めた。感染性心内膜炎と診断され、抗菌薬治療を開始。 この患者の治療経過中に、緊急大動脈弁置換術の適応とならないのはどれか。
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正解: c
正解
c 出血性脳梗塞を併発後の昏睡状態
解説
感染性心内膜炎の外科治療は、主に次の3つで考えます。
- 重症心不全
- 抗菌薬で制御できない感染
- 大きな疣贅による反復塞栓
このうち、出血性脳梗塞の急性期、とくに昏睡状態では、体外循環や周術期抗凝固によって頭蓋内出血が悪化する危険が高くなります。
そのため、通常は緊急弁置換術の適応とはしません。
各選択肢の検討
a 弁穿孔の合併
手術適応です。急性の弁破壊により重症逆流や心不全を来しやすくなります。b 弁周囲膿瘍の形成
手術適応です。感染が弁輪周囲へ波及しており、内科的治療のみでは制御困難になりやすい所見です。c 出血性脳梗塞を併発後の昏睡状態
正解です。脳出血増悪の危険が高く、通常は緊急手術を避けます。d 疣贅が増大し塞栓症がみられる場合
手術適応です。疣贅が大きく、しかも塞栓を起こしている場合は再塞栓予防のため手術を考えます。e 内科的にコントロールが困難な心不全の出現
手術適応です。感染性心内膜炎で最も重要な手術適応の1つです。
ひっかけポイント
- 感染性心内膜炎では、弁破壊、膿瘍、塞栓、心不全は手術方向です。
- ただし、出血性脳病変の急性期は別で、手術リスクが非常に高くなります。
覚えるポイント
- 心不全
- 感染制御不能
- 塞栓高リスク疣贅
この3つが感染性心内膜炎の手術適応の軸です。
一方、出血性脳梗塞直後は緊急手術の適応になりにくいと整理します。