117B28|第117回 医師国家試験 過去問
総合診療・救急・ケア緩和ケア・在宅医療終末期ケア・ACP
82歳の女性。誤嚥性肺炎の診断で入院となった。Alzheimer型認知症があり、頻回の誤嚥性肺炎で既往あり。認知機能の悪化前には「管を入れてまで生きたくない」と発言していた。現在は意識傾眠状態で意思疎通が難しく、家族間でも意見が分かれている。医療チームは胃瘻造設を検討している。 この患者の胃瘻造設に関する意思決定について適切なのはどれか。
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正解: d
正解
d 患者の推定意思を尊重し家族と医療チームが話し合って決定する。
判断のポイント
この症例では、現在の本人は 十分な意思決定能力が期待しにくい状態です。
その一方で、認知機能が低下する前に
「管を入れてまで生きたくない」
と発言していたという重要な情報があります。
このような場合は、本人の推定意思 を中心に、家族と医療チームが話し合って意思決定するのが適切です。
この症例で大切な考え方
終末期や意思決定能力低下時の医療では、一般に次の順で考えます。
- 本人の現在の意思
- 本人の推定意思
- 家族と医療者による話し合い
本症例では 1 が難しいため、2 を重視して 3 へ進みます。
各選択肢の検討
a 患者を介護する家族が決定する。
誤りです。
家族は重要な存在ですが、家族だけで一方的に決定するものではありません。
b 病状説明を行って患者が決定する。
誤りです。
現在は意思疎通が難しく、十分な意思決定能力が前提にできません。
c 患者にとっての最善な治療方法を医療チームが決定する。
誤りです。
医療チームのみで決めるのは不適切です。
本人の価値観や家族の意向も踏まえる必要があります。
d 患者の推定意思を尊重し家族と医療チームが話し合って決定する。
正しいです。
この症例で最も適切なプロセスです。
e 院内に設置された委員会が家族と医療チームの意見に基づいて決定する。
誤りです。
委員会は助言的役割を担うことはありますが、最終決定主体ではありません。
ひっかけポイント
この問題では、
- 家族が決める
- 医療者が最善を決める
という極端な選択肢に引っ張られやすいですが、実際には 本人の推定意思を尊重した合意形成 が基本です。
まとめ
胃瘻造設に関する意思決定で適切なのは、
d 患者の推定意思を尊重し家族と医療チームが話し合って決定する。 です。