28PM41|第28回 精神保健福祉士国家試験 過去問
次の事例を読んで、問題40から問題42までについて答えなさい。 〔事 例〕 大学1年生のAさん(18歳、男性)は、前期の成績で多くの単位を落としてしまった。成績を見た母親が大学に相談したところ、学生支援室を紹介された。数日後、Aさんと母親は学生支援室のキャンパスソーシャルワーカーであるB精神保健福祉士(以下「Bワーカー」という。)の元を訪れ、面談した。母親は「Aは、小学校入学後に落ち着きの無さが目立ち、専門医の受診を勧められ、発達障害と診断された。高校までは学校側に発達障害を伝え、教員のサポートを受けて大きな問題は生じずに卒業できた。大学ではこれまでのようなサポートを申請するか迷っていた」と話した。Bワーカーは、本学には障害学生支援制度(以下「支援制度」という。)があり、これまでも支援制度を利用している学生が居ることなどを説明すると、Aさんと母親は安心して申請を希望した。面談後、Bワーカーは発達障害がある学生が大学に相談に来ることも増えてきたことを踏まえ、今後大学として改めて取り組むべき事柄を、大学に提案した。(問題40) AさんとBワーカーは支援制度の申請に向けて面談を重ねた。Aさんは、自分の発達障害について詳しいことは理解できていないとのことだった。そこでBワーカーは、支援制度の申請と共に、学生支援室が後期に心理教育プログラムとして月1回の全6回シリーズで行う「発達障害についての学習会(以下「学習会」という。)」への参加を勧めた。(問題41) その後、Aさんは支援制度を受けることになり、2年生時には単位を取得できるようになった。また、Bワーカーとの面談時に「半年にわたる学習会に参加して、自分のつらさを分かり合える仲間が居て、自分は一人ではないと実感でき、とてもうれしかった。自分のように困っている学生が学内で孤立しなくなる方法はないか、発達障害についてみんなに知ってもらうにはどうすれば良いか」と話した。そこで学習会の仲間と一緒に今度の大学祭で「発達障害のことを知ろう」という発表会の企画を開催することにした。(問題42) 次の記述のうち、この学習会の目的と方法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
心理教育は、障害特性の知識を一方的に教えるだけでなく、本人が自分の経験、強み、対処法を理解し、生活へ生かすことを目的とします。
解説
Aさんは発達障害について十分に理解できておらず、大学生活で困難を経験しました。一方、高校まで教員の支援を活用して卒業した経験もあります。学習会では、分かりやすい情報と仲間の経験を照らし合わせ、何が困りやすく、どんな環境や工夫なら力を発揮できるかを本人が見いだします。これまでうまく対処できた点に着目することは、自己効力感と自己理解を高めるストレングス志向の方法です。困難を本人の内部だけに帰属させず、環境との相互作用を捉え、専門職への服従ではなく自己決定を支えます。
選択肢の確認
1.これまでの問題や困難の原因は環境要因でないことを理解する。
誤り。困難は本人の特性と授業方法・情報提示など環境との相互作用で生じ、環境要因を除外しません。
2.支援者の援助方針に従うことで問題解決が進むことを強調する。
誤り。心理教育は支援者への服従を求めず、本人の理解、選択、自己管理を支えます。
3.発達障害の概念を専門的な用語を用いて説明する。
誤り。専門用語の提示が目的ではなく、本人が理解できる言葉で生活経験と結びつけます。
4.参加者同士の交流を学習会以外で行わないように注意する。
誤り。安全と境界への配慮は必要ですが、仲間との自発的なつながりを一律に禁止しません。
5.参加者がこれまでの生活でうまく対処できた点に着目する。
正答。最も適切です。既にある強みと有効な工夫を見つけ、今後の対処と自己理解に生かします。
覚えるポイント
心理教育は「正しい知識+自分の経験+仲間との共有+対処法」です。欠点の修正だけでなく、強みと環境調整に着目します。